南洋の死神
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前に跳び下りてきた。そして右手を前に出し身構える。
「その格好ジンドグマではないな。貴様等一体何者だ?」
その問いに口で答えようとしない。無言で襲い掛かって来る。
「ギィッ」
叫び声と共に拳を繰り出す。風見はそれを右手で払いのけると左の正拳を相手のみぞおちへ叩き込んだ。そして返す刀で左にいた最後の一人の首に手刀を打ちつけた。
「見たところ単なる戦闘員のようだが」
倒れている三人のうち一人に歩み寄ろうとする。すると突如としてその一人の身体から緑色のガスの様なものが噴き出した。
「なっ!?」
それは植物の胞子のようだった。咄嗟に身の危険を感じ後ろに跳び退いた風見は無事だったが三人はそのまま胞子に包まれた。そして骨まで完全に溶けて消えてしまった。後には緑色の小さな水溜りが三つ残っていたがそれも霧消してしまった。
「どうやら奴等は俺の事を既に知っているようだな」
風見はそれを見て呟いた。部屋を出てホテルのスタッフには突然入った仕事で部屋を暫く開けるとだけ言った。そしてホテルを後にしてホテルの地下の駐車場に向かう。
駐車場に置いていたバイクに乗った。事前に日本からこのホテルに運ばせていたのだ。青を基調としたカラーリングで赤と白の線が入れられている。装飾性の無い普通のバイクだ。エンジンをかけるとそのまま駐車場を後にした。
道路に出バイクを走らす。向かうは海に面したとある公園である。
風が潮の香りを運んで来る。風見はその香りを鼻で味わいながら己のこれまでの数奇な戦いの日々に思いを馳せていた。
その始まりは偶然からであった。デストロンに殺害された人が溶解するのを目撃し珠純子という女性を保護したのが始まりだった。デストロンの改造人間ハサミジャガーに両親と妹を殺され自身もダブルライダーを救出した際に瀕死の重傷を負ってしまう。その彼の命を救う為にダブルライダーは彼に改造手術を施した。仮面ライダーX3として復活した彼はハサミジャガーを倒し、太平洋上に姿を消したダブルライダーの遺志を継ぎデストロンを倒す為に戦う決意をした。彼の前に生物と機械の合成怪人やデストロンとの結託部族等が前に立ちはだかった。だがそれに打ち勝ち遂にデストロンを滅ぼした。デストロン壊滅後は世界各地を転戦し歴代の悪の組織と戦い続けた。長い戦いの日々だった。幾度となく死線をくぐり抜けてきた。だが彼はそれをつらいとも苦しいとも思ったことはない。心の中には常に両親と妹がいる。目の前で無残に殺された者達、これ以上自分のような境遇の者を出したくない、そう思うから彼は戦い続けてきたのだ。
その彼を陰に日向に支えてきた者達がいる。彼等と会う為に彼は今この公園に来たのだ。
遠くから足音が近付いてくる。二人いる。やがてその二つの足音は風見の前に来て立ち止まった。
「
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