南洋の死神
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笑いは暫くの間その場に残っていた。
やがて佐久間と役、そしてインターポールのスタッフ達が戻って来た。風見も既に変身を解いていた。
「風見さん、無事でしたか」
「ああ。残念だがドクロ少佐には逃げられてしまった。そっちは?」
「こっちもです。結局振り切られてしまいました」
「そうか。ドクトル=ゲーとはいずれ決着を着ける時が来るな」
「はい・・・・・・」
風見は海を見た。先程までの死闘が嘘であるかのように静かで青く澄みきっている。
「おそらくドクトル=ゲーやドクロ少佐だけじゃない。今まで俺達が戦ってきた多くの強敵が地獄の底から甦ってきている。
いや、奴等だけじゃない。まだ見た事の無いとんでもない奴がいる筈だ」
「・・・・・・・・・」
皆何も語らない。それは今回の死闘で皆骨身に染みていた事なのだ。
「ドクロ少佐と戦っている時邪魔が入った。この毒液を吹き掛けて来た奴だ」
そう言って足下でケロイド状に溶けた岩を指差す。
「正体はよく解からなかったがおそらくデルザーの改造魔人の一人だろう。それもかなり腕の立つ奴だ」
岩はまだ溶けていた。シュウシュウと白い煙を出している。
「シンガポールでの奴等の計画は潰えた。だがまだ世界の何処かで奴等は暗躍している。俺はこれからそれを探し出し
一つ残らずこの手で叩き潰してやる」
「先輩・・・・・・・・・」
「風見さん・・・・・・・・・」
風見の強い決意に佐久間も役も言葉を失った。幾多の修羅場をくぐり抜けてきた彼等もその決意には心を打たれた。
(父さん、母さん、雪子、見ていてくれ。俺は必ずこの世の悪を全て討ち滅ぼしてやる)
風見は二人に別れを海に背を向けるとその場を後にした。海が彼の中に秘めた激しい心を鎮めるかの様に碧く優しい色をたたえていた。
南洋の死神 完
2003・12・5
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