聖地の鉄人
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力と残忍な性質を受け継いだ彼は同時に狡猾さも併せ持っており祖先と同じく『砂漠の死神』と称せられた。その天空を支配する力を活かした奇襲攻撃と空中戦をもって知られる男である。
「別に何も。ただ貴様に急に会いたくなったのでな」
「ぬかせ、ならばこの行いは何だ!」
鋼鉄参謀は床に転がっている自分の部下達を指で示し荒ワシ師団長を責めた。
「何、少し聞き分けが悪かったのでな。少し大人しくしてもらおうと思ってこうしたまでよ」
「ぐっ、早く解け」
「よかろう」
荒ワシ師団長は部下の戦闘員達に鋼鉄参謀の部下達の縄を解かせた。ようやく解放された彼等は鋼鉄参謀の方に集まり彼を守る様に囲んだ。
参謀はそうした部下達を手で制すると前に出た。かってデルザーで覇を競った二人の改造魔人がここに対峙する。
「それで一体何の用だ?大体貴様は今ペルーにいる筈ではなかったのか?」
「何、少し小耳に挟んだ事があってな。ここにいるのは仮面ライダー二号だそうだな」
「それがどうした」
鋼鉄参謀は一歩前へ踏み出した。
「まあ待て。相変わらず血の気の多い奴だ。今日は貴様に贈り物があるのだ」
「贈り物?俺に?」
「そうだ。いい物だぞ」
荒ワシ師団長が斧を振り上げ持って来るよう指示を出した。それに従い数名の戦闘員が子供達を引っ立てて来た。ベナレス
の市場にいた子供達だ。
「この子供達は?」
「ベナレスの市場にいた子供達だ。何でも一文字隼人に懐いているらしい」
「ふむ、この子供達を使ってライダーを誘き出せ、というわけだな」
「そういう事だ。これならば有利な状況でライダーと闘えるだろう」
「うむ、そうだな。礼を言う」
「礼には及ばぬ。では俺はこれで失敬させてもらう」
「うむ」
荒ワシ師団長は配下を従え出て行った。鋼鉄参謀もそれを見届けると部下達に指示を出し子供達を手土産としてゾル大佐と死神博士のいる基地へと向かった。
この時彼は気が付かなかった。遠くから彼を見る白い影に。
ベナレスの人々に『青の寺院』と呼ばれるその石造りの寺は既に誰もいない廃院であった。街のすぐ外れに位置している為人も近寄らず廃墟と化していた。その地下深くに彼等はいた。
「ふむ。子供達を囮として誘き出そうというのだな」
指令室の円卓で車椅子に座す死神博士が同じく円卓に座す鋼鉄参謀に問うた。
「そうだ。俺が指定した場所に子供達を連れて行かせた。何も隠れる所の無い丘の上にな。そこで取り囲んでしまえば如何にライダーとて逃れられぬ」
透徹参謀は自信に満ちた声で豪語した。ガラガラと笑い鉄の身体が大きく揺れる。
「ふむ。では俺の改造人間達ももう少ししたらその場へ動かしておくか」
二人と同じ様に円卓に座すゾル大佐が言った。
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