聖地の鉄人
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った人の明るい活気が好きなんだ」
カバンからカメラを取り出した。
「それにいい写真が撮れるしな」
カメラを向けられた人がニコリと笑う。そこへ子供達も寄って来る。
子供達は一文字の周りに集まりヒンドゥー語で色々と語り掛けてくる。一文字も同じヒンドゥー語で返す。滝も多少ならヒンドゥー語は理解出来る。物を乞うているのではなく一文字に何やらせがんでいるようだ。どうやら一緒に遊んで欲しいと言っているようだ。
「相変わらず子供に人気があるな」
「まあね。写真も撮らせてもらってるし色々と教えてもらう事もある」
「教えてもらう事?」
「ああ。子供は感受性が強いからね。それを感じ取って写真に撮っていくんだ」
「成程ねえ。俺も日本じゃ子供達にいろんな事を教えてもらったな」
滝は日本にいた時の事を思い出した。彼はその時少年ライダー隊の隊長として子供達と共にショッカー、ゲルショッカーと戦った。その時子供達に教えられ助けてもらう事が多々あった。子供の強さと賢さを実感させられていたのだ。それは滝にとって忘れえぬ思い出だった。
「子供達か。そういやライダー隊のチビ共も元気にしてるかな」
「皆元気にしてるよ。立派な若者に成長しているよ」
一文字が子供達と遊びながら答えた。
「そうか、ならいい」
滝は笑った。北東の方を見る。そこには日本がある。そこにいるかっての同志達に思いをはせるのであった。
市場の後は死と戦の女神カーリー神の寺院へ入った。破壊神シヴァの妃パールヴァティーの化身の一つであるこの女神は恐ろしい外見をしているが正義の為邪悪なる者を討ち滅ぼす荒ぶる神なのである。
昼食をとった後市内を見て回る。カルカッタやデリー等と比べるといささかのどかな街だというがそれでも路には人や牛や車が溢れかえっている。
街の外れにある空き地に来た。そので滝は一文字に尋ねた。
「なあ隼人」
「何だ?」
「御前写真を撮る為にこのベナレスへ来たって言ったよな」
「ああ」
「そえも目的だが本当は別の目的で来たんだろう?」
「・・・・・・・・・」
一文字は答えなかった。だが滝は続けた。
「ここに何か人々にとって良からぬ連中がいる。それを感じ取ったから御前はこのベナレスへ来たのだろう?」
一文字はまだ黙っている。
「当たっているだろう」
その言葉に対し一文字は口と目で笑って答えた。
「やっぱり知っていたか。流石に鋭いな」
一文字は口を開きはじめた。
「その通りだ。タイでカメラマンの仕事が一段落した時インドで怪物が出たっていう噂を聞いてね。ほら、御前も新聞やニュースなんかで見た事あるだろう?」
「ん、あれか!?」
その話は滝もアメリカで聞いた事がある。インドで猿と人の合成獣の様な未
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