暁 〜小説投稿サイト〜
仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
聖地の鉄人
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われているが旧態依然とした制度も残っている。豪奢な宮殿に住み財宝と美女に囲まれている者もいれば森や路で生活し、ありのままのものを食べそれで満ち足り何不自由なく生きている者もいる。路を牛や犬が普通に歩きその隣に自動車や戦車が走る。果てしなく広がる砂漠があれば絶ゆ間無く流れる大河もある。何処までも見渡す限りの平原と天を支えるかと思われるまでにそびえ立つ山々がある。聖なる神と邪なる神が共存する。その聖なる神は時として全てを破壊し、邪なる神が世界を救う。秩序と混沌、創造と調和と破壊、過去と現在と未来、生と死、その全てを内包しているのがインドなのである。人々が無意識に持つ底の無い無限の世界、それこそがインドではなかろうか。
 「何時来ても不思議な国だな、ここは」
 一文字は夕暮れの街を歩きながら呟いた。ロンドンに生まれ日本に渡りそれからは世界各地を転戦してきた。あらゆる国を回り最早ほとんどの国を見てきた。その中でもインドは特別だった。
 何か遠い昔に忘れ去ったものがインドという国にはある。そしてインドのその悠久の時を感じ取った後母国へ帰る。すると今まで気が付かなかった母国の素晴らしさに気付くのである。
 ある店に入った。あまり高くない大衆的な日本でいう食堂のようなものだ。インド商人特有の愛想良さとサービスが売りの店だ。無論味もいい。ただ油断するとすぐ値段をボッてくるので気が抜けないが。
 店に入る。十程のテーブルが並べられている。手前のテーブルに着く。先客がいた。そこにいたは彼が良く知る顔だった。
 「よお」
 鶏と野菜のカリーを右手の三本の指を使って食べている男が挨拶をした。赤のシャツに黒のズボンを着たパーマの男は一文字のかっての戦友だった。
 「滝!どうしたんだこんな所で」
 「御前がここにいるって聞いたんでね。丁度この辺りで仕事があったんで立ち寄ったのさ」
 カリーを食べ終えテーブルの脇に置かれている木のコップで指を洗いながら答えた。
 「そうだったのか。どうだ、一緒に食べないか?」
 「おいおい、今食べたばかりだぞ」
 向かいのテーブルに着く一文字に困った様な笑みを浮かべて答えた。
 「何言ってんだよ。それだけじゃ足りないだろ」
 「ははは、まあな」
 そして二人は料理を注文した。カリーやタンドリーチキン等インドの家庭料理である。二人は心ゆくまでそれ等の料理を堪能した。
 その夜は別のホテルに泊まった。一文字の泊まっているホテルが満室であり滝は別のホテルにしざるをえなかったからだ。
 次の日の午前に二人は市場で落ち合った。それぞれの店が開店の用意をしている。
 「いいねえ、活気があって」
 滝はガヤガヤと明るい喧騒の中仕度をする人達を見ながら目を細めた。
 「だろ?市場のこの雰囲気は何処へ行っても変わらない。俺はこうい
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