暁 〜小説投稿サイト〜
仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
黒き森の魔狼
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 ドイツ南西部シュツットガルトの西に広がるシュバルツバルト=黒の森は森の国と呼ばれるドイツでもとりわけ有名な森である。何処までも続く森はライン川や古城と共にドイツ人の心の原風景となっており多くの詩人や思想家がこの森を愛した。
 森には多くの恵みがあった。家となり焚き火となる木々、腹を満たす果実や獲物、人々にとって森はかけがえの無いものであった。
 森は同時に怖ろしい場所でもあった。熊や狼が潜み罪を犯した者や異端者が逃げ込み魔物や邪な妖精が木の陰から息を潜め狙っているーーー。森はこの世のものではないまつろわぬ者達が住む場所でもあったのだ。
 この黒の森もそうであった。妖精や悪霊の話は多い。元々そういった人智の及ばぬ者達への関心が高い国民性もあり言い伝えや目撃談が現在に至るまで残っている。今も森の深き所にある古城とその近辺に狼男が現われるという噂がある。
そしてその辺りで行方を絶つ者が続出しているのである。狼男と行方不明事件に何らかの関連があると見たインターポールはこの地へ捜査班を送る事を決定した。
 「話には聞いていたけど凄い森だな。こりゃあ狼男がいても不思議じゃないぜ」
 緑のジャケットにクリーム色のズボンを身に着けたアジア系の男が言った。日に焼けた顔をしておりやや細面に太い眉とちぢれ気味の髪がよく似合っている。引き締まった身体をしている。彼の名は滝和也、かって仮面ライダー一号、二号と共に悪の組織ショッカー、ゲルショッカーと戦ってきた伝説の人物である。
 日系アメリカ人としてハワイに生まれた彼は大学卒業後FBIに入り捜査官となる。当時世界中で暗躍していたショッカー担当となった彼はインターポールへ出向しショッカーの動きが最も活発だった日本へ赴任した。そこで二人の仮面ライダー、本郷猛および一文字隼人と出会ったのだ。そして彼等と共にショッカー、ゲルショッカーと戦った。ゲルショッカー壊滅後はFBIに戻り主に対テロリスト担当の捜査官として活動した。昨年インターポールに常識では考えられない超常現象や事件を取り扱う『特別捜査課』が極秘に設立されると再び出向してその課長となった。ショッカー、ゲルショッカー及びテロリスト達を相手に戦っていた彼の実戦能力と指揮能力、そして一本気な性格は部下達からも慕われておりその評価は高かった。
 「乱開発が進んでいるって聞いてたけどまだこれだけ見事な森が残っているとはね。他の奴等にも見せたかったよ」
 「そうですね。何か童話に出てくるみたいな森ですしね」
 部下の一人である黒人の男が同意した。黒のアーミージャケットに白いジーンズを着ている。
 「これが仕事じゃなかったらな。まあぼやいても始まりませんが」
 同じく部下である青っぽい服を着た白人の男がぼやいた。二人の他にも何人かいる。皆インターポール特別捜査課の者であり滝
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