黒き森の魔狼
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軍略家。だからこそこの度の作戦を任されたのだからな」
「言うな。貴様こそアフリカは大丈夫なのだろうな」
「アフリカか。まあどうしても手柄を欲しがっている死に損ないもいるがな」
「死に損ない?ああ、あいつか」
「そうだ。プライドだけは高いがな。適当にあしらっている」
「成程な。だが良いのか?アフリカには貴様の宿敵もいるのだろう」
「宿敵!?あの男か!」
影の男の声の調子が変わった。心なしか男の声にも怒気がこもっている。
「そうだ。かって我等を倒したあの男だ。今までタイにいたらしいが我々の動きを嗅ぎつけてアフリカ入りしたらしい」
「・・・・・・そうか。他にアフリカ入りした奴はいないな」
「他は知らぬ。今分かっているのはエルサレムにもう一人いるらしいという事だけだ」
「エルサレムか、確か中東は・・・・・・」
「あの単細胞が取り仕切っている」
「あの単細胞か。ここで死んでくれれば助かるのだがな」
影の男はクックックッ、と含み笑いを漏らした。
「いや、まだあの男は使える。例え知能が低くとも力だけはあるからな」
「そうだったな。連中に対抗するには手頃な駒だった」
「そういう事だ。今は少しでも駒が必要な時、使える物は取っておくに限る」
「うむ。では俺はアフリカに向かう。あの男が来たとなると安心は出来ん。この地での作戦成功を楽しみにしているぞ」
「うむ、待っているがいい」
「それではまたな」
影の男が指で葉巻の火を消すと全身が炎に包まれた。そして巨大な火球となりそのまま消え去った。
「地底王国の魔王か。その力どれ程のものかは知らぬが」
男は火の残りかすが床に落ちるのを見ながら呟いた。
「最後に笑うのはこの俺だ。誇り高き我が一族の名にかけてな」
男はそう言うと高らかに笑った。その笑い声は人のものというより獣の、それも荒れ狂う吹雪の中に木霊する肉食獣のそれであった。
その夜滝率いるインターポール特別捜査課は宿舎としているホテルに泊まった。観光客という名目でドイツ入りしている為表立って公の施設は使えないからだ。
滝は部下達が全員寝静まったのを確認してホテルを出た。昼に捜査した時になにやら引っ掛かるものを感じたからであった。
こういう時は必ず何かある、そしてそれは人目を忍んでいるものだ。ショッカー、ゲルショッカーとの長きに渡った戦いで彼はそれを嫌という程己に叩き込んだ。そしてそれが二つの組織の執拗な攻撃をくぐり抜け、テロリスト達を倒してきた糧となってきたのだ。
漆黒の空に少しばかりの雲がある。そして中空には月がある。不気味な程大きく血の様に毒々しい赤の色をした満月だ。
「嫌な月だな」
空を見上げて少し忌々しげに漏らした。月は嫌いではない。だがこの様な毒々
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