黒き森の魔狼
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た古城の跡地を調査しながら滝は本郷の話を聞いていた。
「あれだけの力を持っていた奴等を甦らせたんだ。どうやらどえらい事が起こりそうだぜ」
「ああ。次々と改造人間達が現われる。今までより遥かに過酷な戦いになる」
「過酷、ね」
本郷の言葉に滝は煙草をくわえニヤリ、と笑った。
「何時だって過酷だったさ。そんなことはどうだっていい。それより本郷、御前今すぐ行かなくちゃいけないんだろ?」
滝の言葉に本郷の隣のルリ子も微かに反応した。
「うむ、ロンドンで空を舞う怪人が出たらしい。すぐに急行する」
「空を飛ぶ奴か。ガランダーのフクロウ獣人あたりだな」
「おそらくな。奴は凶暴で獰猛な獣人だ。すぐに倒さなくてはいけない」
「相変わらず忙しいな。けど御前は一人で戦わなくちゃいけないんじゃない」
「ああ」
「ルリ子さんがいる。おやっさんも日本にいる。隼人のやつもどっかで戦っているだろう。それに・・・・・・」
滝は言葉を続けた。
「俺もいる。及ばずながら力になるぜ」
「・・・・・・済まない」
本郷は目と口だけで微笑んだ。
「礼はいいさ。支払い無用のツケにしといてやるからよ。また近いうちに会うだろうからよ、その時も頼むぜ」
「ああ、わかった」
「じゃあな。元気で頑張れよ」
本郷はバイクを駆り古城を後にした。ルリ子もバイクで追いかけていく。滝はそれを笑顔で見送り新しい煙草に火を点けた。
「また、始まったか」
吸った煙草が何時に無く美味く感じられた。だが彼は解かっていた。その煙草が束の間の休息に過ぎない事を。そして最後の一本になるかも知れない事も。
黒き森の魔狼 完
2003・11・21
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