第二章
[8]前話
「どうされますか」
「詳しいお話を聞かせて下さい」
「是非」
両親はそれならと応えた、そしてだった。
実際に医師から詳しく話を聞いた、火傷の跡が完全に消えると約束してもらい保険も下りると聞いて安堵してだった。
智花に手術を受けてもらった、手術は時間がかかり保険が下りても多額であった。だがそれでもだ。
実際に火傷の跡が顔にも背中にもなくなったのを見てだ、両親は心から喜んだ。
「よかったな」
「全くよね」
「どうなるかと思ったが」
「本当によかったわ」
「うん、私も嬉しいわ」
当の智花も泣きそうな顔で喜んでいる。
「跡がなくなって」
「そうだな」
「もう安心よ」
「そうよね、ただね」
ここで智子は眉を曇らせて言った。
「お隣の根煙草で火事を起こした喬橋さん」
「喬橋庸一さんな」
「学校の先生のね」
「あの人は前から評判が悪かったんだ」
「色々悪いことをしているってね」
「それで火事まで起こしたのね」
両親にその顔のまま言った。
「今度は」
「そうだな」
「モラルのない人だったからね」
「学校の先生には多いな」
「あんな人」
「そうね、けれど火事のことが問題になって」
自分の不始末だからだ。
「うちにも損害賠償請求してるし」
「貰うことになったぞ」
「弁護士さんがやってくれたわ」
「他にも問題わかって、お隣さんが変な人だと大変ね」
「こうしたことがあるからな」
「その通りね」
両親もまさにと頷いた。
「智花の火傷は消えたけれど」
「あんな人は傍にいて欲しくないわ」
両親はしみじみと言った、そうしてだった。
まずは一家で智花のことを喜んだ、そのうえでこれまた一家で以後は隣人それに周りの人達に注意する様になった。おかしな人のおかしな行動に巻き込まれない様にする為に。
火傷をしたけれど 完
2024・11・23
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