第二章
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「黄金時代のスタジアムが」
「思います」
「あの頃西武強かったですし」
二人は老人に即座に答えた。
「何でこうなってるんですか」
「悪名高い球場に」
「気候は変わっていないぞ」
老人は憮然として言う二人に返した。
「所沢はな」
「そうなんですか」
「昔も寒かったんですか」
「これで雨が降るとな」
その時はというと。
「寒くて仕方なかった」
「春先とか秋の終わりで降ったら嫌ですね」
「冗談抜きで風邪ひきますね」
「しかも屋外なら」
「只でさえ寒いのに」
「それでも応援したものだ」
老人はしみじみとして言った。
「雨にも負けずな」
「そうだったんですか」
「昔はそうだったんですね」
「ドームなんてなくてな」
それでというのだ。
「もうどれだけ寒かったか」
「雨が降ったら」
「その時はですか」
「それでも応援した、どんな中でも応援するのがな」
それがというのだ。
「ファンだからな、今となればいい思い出だ」
「雨が降って寒くても」
「応援していたことが」
「そうだった、選手の人達はもっと寒いんだ」
グラウンドで活躍する彼等はというのだ。
「そのことを思うとな」
「私達は何でもないですか」
「この球場で応援しても」
「そうだ、今日も頑張って応援するぞ」
「わかりました」
「そうします」
二人も老人の言葉にある気迫に頷いた、そうしてだった。
丁度外から雨音が聞こえてきたので雨にあたらないだけましだと思って応援することにした、そうして応援をするが。
二人も老人も度々水を飲んだ、愛実はペットボトルの水を飲みつつ牧子に言った。
「やっぱり水分補給はしないとね」
「ここ本当に夏暑いからね」
「そこは気を付けてね」
「応援していこう」
「昔はここまで飲まなかったな」
老人は少し苦笑いで述べた、そうしてだった。
西武を応援していった、今は雨が降らないドームにおいて。とりあえず二人も雨にあたらないことはよしとした。
雨が降っても応援だ 完
2024・11・23
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