第一章
[2]次話
台風が来た日
台風が来た、それでだった。
宇宙航空自衛隊のその基地はすぐにだ、基地にある航空機全機にそうする様に命じた。
「千葉の基地にですか」
「全機避難させるぞ」
一等空曹の川相利次は若い三等空曹の前田久雄に話した、二人共作業服姿で引き締まった体格である。川相は大きな目で四角い顔を持ち前田は細面で眼鏡をかけている。
「今回もな」
「台風が来るとですね」
「うちは逃げるんだ」
「空自はですね」
「それで海自さんもな」
海上自衛隊もというのだ。
「台風が来たらな」
「護衛艦が港から出て」
「台風が来ない場所までな」
「海の方に避難しますね」
「台風が来るとな」
川相は基地の格納庫の中で前田に苦い顔で話した、全員航空機を離陸させる準備にかかっていて忙しい。二人も動いている。
「風と飛んでくるもの、大雨でな」
「機体が傷みますね」
「かなりな、だからな」
そうであるからだというのだ。
「安全な、台風が来ない場所までな」
「航空機を避難させますね」
「ああ、そしてな」
川相はさらに話した。
「海自さんの護衛艦もな」
「台風受けたら傷むんで」
「だからな」
そうであるからだというのだ。
「安全な場所までな」
「避難しますね」
「うちと海自さんはそうだ」
川相は言い切った。
「けれど最後のな」
「陸自さんはですね」
「違うからな」
「台風来たらですね」
「出動だ」
そうなるというのだ。
「堤防が決壊しそうならな」
「防ぎますね」
「災害救助だってな」
「ありますね」
「もうな」
それこそというのだ。
「嵐の中でな」
「向かっていきますね」
「陸自さんはな」
「うちと海自さんは逃げてですね」
「台風からな」
「陸自さんはそうですね」
「全然違うな」
「そうですね、本当に違いますね」
「そうするのがな」
それがというのだ。
「違いだよ」
「三つの自衛隊の」
「陸自さんは大変だよな」
「ですね、災害起こったら真っ先に出動ですし」
「こうした時だってな」
「台風も災害ですし」
「仕事しないといけないからな」
だからだというのだ。
「本当にな」
「大変ですね」
「そうだよ」
実にというのだ。
「こっちは避難して残った人間はな」
「安全な場所にいますね」
「そうだけれどな」
「陸自さんは出動ですね」
「嵐の中仕事だ」
そうするというのだ。
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