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第百四十九話 文化祭の中のデートその一

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                第百四十九話  文化祭の中のデート
 一華は休憩時間になるとすぐにスマートフォンで達川に連絡した、そうして彼に対して言うのだった。
「今時間ある?」
「あるよ、だからだね」
「うん、私もあるから」
 それでというのだ。
「これから何処か行かない?」
「いいね、じゃあ農業科の体育館行かない?」
「農業科の?」
「今あそこで試食会やってるんだ」
 達川はスマートフォンの向こうの一華に話した。
「採れたお野菜とか果物、お料理のね」
「試食会やってるの」
「色々あるらしいよ」
 試食会に出ている食べものはというのだ。
「林檎とか梨とか栗とかね」
「秋の食べものね」
「柿もあるしビニールハウスで採れた苺や西瓜もね」
「あるのね」
「キーウィもあるし」
 この果物もというのだ。
「他のものもね」
「あるのね」
「おうどんやおそばもあるらしいから」
「おそばあるの」
 一華は蕎麦と聞いて目を輝かせて言った。
「いいわね」
「一ちゃんお蕎麦好きだったね」
「ええ、おうどんも好きだれど」
「お蕎麦もだね」
「それで最近お蕎麦食べたかったのよ」
 そうだあったというのだ。
「実はね」
「じゃあ丁度いいね」
「ええ、それじゃあね」
「農業科の体育館行く?」
「そこにしましょう」
 一も二もないという返事だった。
「デートはね」
「それじゃあ今から行こう」
「ええ、待ち合わせ場所はね」
 一華は自分から指定した。
「農業科の校門の前ね」
「今からそこに行くよ」
「私もね」
 二人で笑顔で話した、そしてだった。
 一華はスマートフォンを切るとすぐに教室を出ようとした、そして出る時にかな恵に明るい笑顔で告げた。
「ちょっと行って来るから」
「デート?」
 かな恵は一華に顔を向けて尋ねた。
「そうなの?」
「あれっ、スマホのお話聞いてたの?」
「聞いてないけれど一華ちゃんのお顔見たらね」 
 その明るい表情をというのだ。
「そうじゃないかなって思ったけれど」
「そうなのよ」
 一華も隠さず答えた。
「実はね」
「やっぱりそうよね」
「ええ、それでね」
 一華はさらに言った。
「農業科の体育館行って来るわ」
「あそこ試食会やってるわね、私も成美っちと行くのよ」
「そうするの」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「あそこのこと知ってるの」
「そうなのね」
「それで今から行くのね」
「そうなの」
 一華は明るい笑顔で答えた。
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