第二章
[8]前話
「食ってたんだよ」
「江戸でもですね」
「大坂は有名だな」
「この街はそうですね」
「食ってたよ、それで安かったんだ」
そうだったというのだ。
「あと僕の大叔父さんもな」
「河豚食べてたんですか」
「僕が生まれる前に死んだけれどな」
それでもというのだ。
「何でも免許なくても」
「河豚を調理する」
「自分で買って捌いて」
そうしてというのだ。
「食ってたらしいな」
「魚屋さんとかで一尾丸ごと買って」
「そうしてたらしいな、傷痍軍人で一回怪我の痛み止めで麻薬やってな」
「麻薬ですか」
「ヒロポンだったか」
村田に考える顔で話した。
「それをやってな、止めたけれど中毒になったことがあって」
「大変ですね」
「ヒロポンって覚醒剤だからな」
今で言うそれだというのだ。
「それで自分は廃人になったって言って傷痍軍人の年金で細々と生きていたらしいな」
「そんな人だったんですね」
「それでその人も河豚を自分で捌いてな」
そうしてというのだ。
「食っていたんだ」
「そうだったんですね」
「ああ、昭和の話だけれどな」
「そうした人もいて」
「それでな」
「河豚は免許なくても食べられて」
「江戸時代は勝手に出ている形でな」
それで食べられていてというのだ。
「安かったんだよ」
「そうだったんですね」
「ああ、それで今高いのはな」
村田に少し苦笑いになって話した。
「もうそれはな」
「仕方ないですね」
「そうだよ、それで接待では」
「このお店で、ですね」
「コース用意してな」
「接待しますね」
「そうしような」
こう言ってだった。
今は二人で接待の下見で食べていった、そして実際の接待でも食べてそのうえで味を楽しんだ。高かったが肝心の接待は成功したので二人はよしとしたのだった。
河豚は安い 完
2024・11・21
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