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抱き締めるのが好きな三毛猫
第一章

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                抱き締めるのが好きな三毛猫
 フランス中部ブルターニュ地方で農家を営んでいるダニエル=アルトニー茶色い神と毛を持つ精悍な顔の中年男性の彼はこの時妻のセリーヌ見事な長居ブロンドと青い目を持つ整った顔立ちの彼女と一緒に休日のサイクリングを楽しんでいたが。
 森の道を進みつつだ、彼は妻に言われた。
「待って」
「どうしたんだい?」
「あそこに猫がいるわ」
「猫?」
「ほら、あそこにね」
 妻は自転車を停めて夫に言った、夫もここで自転車を停めて妻が指差したその場所を見て確かにと頷いた。
「そうだね」
「ニャア」
 見れば三毛の子猫だ。
「まだ子猫じゃないか」
「捨てられたのかしら」
「そこはわからないね」
「そうね、けれどこのままだと」
 森に子猫一匹だととだ、妻は夫に言った。
「危ないわよ」
「そうだね、それじゃあ」
「保護しましょう」
「それがいいね」
 夫も確かにと頷いた、そうしてだった。
 夫婦で猫のところに行った、すると。
「ニャア」
「あれ、この子雌で」
 妻は自分から来た猫を手に取って言った。
「随分とね」
「人懐っこいね」
「そうした娘ね、じゃあよく動く娘だし」
 それでというのだ。
「ジャージの中に入れて」
「そうして家にまで帰ろうか」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「家族にしましょう」
「それじゃあね」
 夫もそれならと頷いた、そうしてだった。
 二人で子猫を保護してサイクリングを再開してだった。
 家に連れて帰るとだ、中学生の息子のフランソワ父親そっくりの彼とベテ愛犬の黒い雄の大型犬の彼がいたが。
 その子猫を見てだ、両親に言ってきた。
「何処にいたの、その子」
「ワオン」
「森にいたのよ、一匹だけだと心配だから」
 セリーヌは息子に事情を話した。
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