第三十七話 ドクターマンの決断その九
[8]前話
「俺もな」
「誰だってそうですよ」
「だから嘘は吐かない」
そうしているというのだ。
「決してな」
「隠しごともですね」
「しない」
そうだというのだ。
「今もな」
「そうなんですね」
「それでだ」
そしてというのだ。
「はっきりと言った」
「それが言霊になってもですか」
「言う」
「ううん、それはかなり困った体質ですね」
「そもそも嘘を吐くと死ぬなんてね」
鬼頭がここでまた言った。
「普通ないしね」
「だから大変なことになっているわね」
ソノニが言ってきた。
「死んだりして」
「そうなのよね」
「確かに正直は美徳だけれど」
「死ぬのはあんまりよね」
「嘘を吐くとね」
「実際にそうした体質だからな」
桃井本人の言葉である。
「受け入れている」
「それで周りにも言うのね」
「周りは受け入れなくてもいい」
特にというのだ。
「俺自身のことだからな」
「そうなのね」
「そしてだ」
桃井はさらに言った。
「一つ思うことだが」
「何?」
「ギアのことも調べるな」
鬼頭に対して問うた。
「やはりな」
「ええ、あんたが言う通り戦う可能性はゼロじゃないから」
鬼頭も認めることだった。
「だからね」
「それなら念入りにだ」
「調べるの」
「そうするべきだ」
絶対にというのだ、桃井はここでは固い信念を以て鬼頭に話した。聞けばその口調は普段より強いものになっている。
「ギアもな」
「敵になる可能性があれば」
「どの組織もそうすべきでな」
「ギアもなのね」
「そういうことだ」
「抜かりなくなのね」
「その通りだ」
まさにという返事だった。
「戦うからにはな」
「何かだ」
カニスカはいつもの調子で言う桃井を見て言った。
「この男はぶれないな」
「いや、個性が強過ぎてよ」
鬼頭はカニスカに眉を顰めさせて説明した。
「変わり様がないのよ」
「このままか」
「変わってもね」
そうなろうともというのだ。
「この個性のままよ」
「変わるか」
「成長してもね」
「そのままか」
「この個性、性格はね」
あまりにも強いそれはというのだ。
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ