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故郷だったので
第二章

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「ああ、震度五か」
「これ位じゃな」
「何でもないよ」
「倒れた家あったそうだけれどな」
「怪我人がちょっと出て」
「けれど死んだ人はいないし」
「よかったよ」 
 日本人の同僚達は冷静だった、ハミールはその冷静さを見て日本人はここまで地震に馴れているのかと唸ったが。
 その中で同僚の一人が慌ててスマートフォンを賭けた、そうして暫く話をしてからほっとした顔になって会話を終えた。
 それを見てだ、ハミールはその同僚に尋ねた。
「何かあったのですか?」
「今の速報ですが」
「地震のですね」
「実は実家滋賀県にありまして
「地震のあった」
「はい、それでなんです」
 同僚はハミールに真顔で話した。
「家族も家も無事かどうかです」
「ご実家の方に尋ねられたのですか」
「母に」
 この人にというのだ。
「そうしました」
「そうでしたか」
「それで、です」
 同僚はハミールにそのほっとした顔で話した。
「幸いです」
「ご実家もご家族もですか」
「無事でした」
「それは何よりでしたね」
「全くです、確かに震度五で」
 地震の強さの話もした。
「安心出来ますが」
「震度五で」
「日本では大したことないので」
 同僚は笑って話した。
「もっと凄い地震幾らでも起こるので」
「それはそうですね」
 ハミールもその話は否定出来なかった。
「日本では」
「ですが倒壊した家屋と怪我人が出たそうなので」
「念の為にですね」
「確認しました、ですが」
「何もなくてですね」
「安心しました、よかったです」
 ハミールに笑顔で述べた。
「本当に、じゃあ仕事に戻ります」
「それでは」
「倒壊した家は数軒でけが人も軽傷の人が数人位らしいので」
「よかったですか」
「大したことなくて、じゃあ仕事に戻りましょう」
「それでは」
 ハミールは笑顔で頷いた、だが。
 本当に通常業務に戻った周りを見て彼はまた唸った、日本は多少の地震では騒がない国なのだと。そのことを一人思いつつ彼もまた仕事に戻ったのだった。


故郷だったので   完


                  2024・11・19
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