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星河の覇皇
第八十七部第四章 首相官邸にてその三十一

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「それでもね」
「兎角女性のお話がなく」
「そして物欲もね」
「なかったですね」
「食事もそうで」
 菜食主義者でというのだ。
「お酒も飲まず煙草もね」
「特に煙草を嫌っていましたね」
「当時は男性なら多くが喫煙していたわ」
「とりわけ軍人は」
「だから会議の時はワインを飲みつつ誰もが煙草を吸ってだったけれど」
 特に将官達のそれではだ。
「ヒトラーは違ったわ」
「その両方を嗜まなかった」
「異様ですらあったわ」 
 それ程までだったというのだ。
「ヒトラーはね」
「それ程真面目でしたね」
「私人としてはね」
「そうでしたね」
「彼はお酒は飲んで菜食主義者でもないけれど」 
 再び八条のことを話した。
「煙草は吸わないにしても。そして生活もね」
「やはりあれだけの家のご子息ですから」
「豪勢であることはね」
「事実ですね」
「贅沢なのは確かよ」
 このことはというのだ。
「非常にね。けれど溺れていなくて誰かを苦しめることもね」
「しないですね」
「その贅沢の中でね」
「そのこともありますね」
「そこはヒトラーと違うわ。けれどヒトラー以上にもてて」
 それと共にというのだ。
「残念なことにね」
「ヒトラー以上にですね」
「女性については清潔であり」
「鈍感ですね」
「全く気付かないわ」
「そこが問題ですね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「本当にね」
「そこが問題ですね」
「ええ、だからね」
 それでとだ、伊東は小柳に確かな顔で答えた。
「私もね」
「総理だけでなく」
「八条家ともお話して」
 彼の実家とも、というのだ。
「お話を進めていくわ」
「そうされますね」
「そしてね」
 伊東はさらに述べた。
「彼に何とかね」
「結婚してもらって」
「一つの家庭を築いてもらって」
「お子さんもですね」
「もうけてもらうわ」
「それも何人も」
「そうしてもらうわ」
 こう小柳に述べた。
「これからね」
「大変なお仕事ですね」
「そうね、一つの政策と同じだけね」
 伊東はテレビ電話の画面の中で笑って述べた、三次元のそれでの彼女は立体的に映し出されてそうなっていた。
「大変よ」
「左様ですね」
「彼のこのことはね」
「あの人が若し恋愛に人並に察することが出来れば」
「もうよ」
 それこそという返事だった。
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