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代理で行ってもらうと
第二章

[8]前話
 だが青森の取引先の電話を聞いてだ、彼は部下に驚いて言った。
「商談まとまったよ」
「えっ、そうなんですか!?」
「うん、二階堂さんがね」
 彼女がというのだ。
「まとめたよ、何でもあちらで出て来たのが幼馴染みの人で」
「その縁で、ですか」
「すぐに親しく話が出来て」 
 そうしてというのだ。
「話がとんとん拍子にまとまって」
「そうしてですか」
「まとまったよ」
「そうだったんですね」
「しかも二階堂さん話し方もわかりやすくて聞き上手で」
「営業も出来てですか」
「そのこともあって」
 それでというのだ。
「無事にね」
「話がまとまったんですね」
「そうだよ、意外な展開だよ」
「全くですね」
 部下も確かにと頷いた。
「ですがよかったですね」
「うん、商談がまとまったからね」
「二階堂さんに感謝して」
「何かプレゼントをしよう」
 こう言って実際にだった。
 茶本は二階堂が戻って来るとすぐに彼女に営業部としてプレゼントに高級レストランの招待券を差し出した、代理として行ってもらい商談もまとめてくれたからだ。
 そのうえでだ、彼は二階堂にこうも言った。
「よかったら営業部に」
「異動ですか」
「そうしてくれたら嬉しいね」
「そこは総務部と」
「そうだね、総務部も君のことは評価しているし」
 聞けばそうだった、仕事が出来るとだ。
「そこは諦めるよ」
「そうですか」
「うん、総務部で頑張ってね」
「そうしていきます」
 確かな声でだった。
 二階堂は茶本に答えた、そして総務部でエースとして活躍していった。茶本はその彼女を見て部下に言った。
「そういえば歌劇だと代理で出てだよ」
「それで歌ってですか」
「大好評でね」
 そうなってというのだ。
「そこからトップ歌手になった人も多いよ」
「そうなんですね」
「ドミンゴもそうだしね、代理はね」
「思わぬ発見もありますね」
「そうだよ、ただ彼女は総務のエースだから」
「引き抜けないですね」
「だからこちらはこちらで頑張ろう」
 営業部でというのだ。
「そうしよう」
「わかりました」
 部下は茶本の言葉に頷いた、そうして彼等でやっていった。そして彼等で確かな人材も育てて働いていくのだった。


代理で行ってもらうと   完


                   2024・11・18
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