第一章
[2]次話
臭いから風呂に入って
工事現場の監督をしている宮原勝平はいつも汗をかいている、しかも趣味は自宅でのトレーニングなので尚更だ。
自転車の器具やルームランナーを使って汗をかくが長方形の顔に引き締まった顔がある長身で筋肉質で黒く短い髪の毛の彼にだ。
娘で中学生の美奈代黒髪をロングにしリボンをつけた髪形で大きな黒い目と形のいい顎を持ち一五五位の背でスタイルのいい彼女は父にむっとした顔で告げた。
「お父さん臭い」
「何っ、俺は臭いか」
「汗臭いし」
さらに言うのだった。
「さらに加齢臭するから」
「もうそんな歳か俺は」
「何とかして」
「何てことだ、娘に臭いと言われるなんてな」
彼は自宅で嘆いた。
「俺にはないと思っていたのに」
「だってあなた肉体労働で趣味はトレーニングよ」
妻の小百合が真顔で言ってきた、美奈代と一緒にいると年齢以外はクローンかと見間違うまでにそっくりな外見である。
「だったらね」
「汗かいてか」
「しかも実際年齢でね」
「加齢臭あるか」
「そうよ」
こう夫に告げた。
「結構ね」
「臭いと言われるのは俺も嫌だな」
「特に自分の娘にね」
「ああ、ダメージが大きいな」
精神的なそれがというのだ。
「本当にな」
「あなた毎日シャワーだけれど」
「冬もな」
「これからは湯舟にも入った方がいいわ」
「その方が匂いが落ちるんだな」
「ただ身体洗って流し落とすよりも」
それだけでなくというのだ。
「湯舟に入ったらそこで垢も汗も落ちて」
「臭いもか」
「湯舟に滲み出てね」
そうなりというのだ。
「落ちるから」
「風呂に入ることか」
「そう、そしてね」
妻はさらに言った。
「コロンもね」
「コロン？オーデコロンか？」
「そう、それも付けてね」
そうもしてというのだ。
「そのうえでね」
「やっていくと匂いも消えるか」
「そうなるわ」
こう夫に話した。
「むしろいい匂いがして」
「美奈代に臭いなんて言われなくなるか」
「そうなるわ」
「よし、すぐにそうするな」
夫は即座に言った。
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