第二章
[8]前話
「本当にね」
「よかったな」
「いや、見違えたよ」
村田自身も言うことだった、夕食の焼き魚をメインとした食事を食べつつ一家団欒で楽しく食べている。
「もう脂なんてないよ」
「そうだよな」
「本当にね」
「脂も」
身体のこれはというと。
「しっかり運動してサウナにも入って」
「お食事も変えるとね」
「なくなるんだね」
「いや、前はだよ」
妻に笑顔で話した。
「職場でも紙に触っても」
「手の指の脂付いたんだな」
「それ位でな」
それでというのだ。
「顔を念入りに洗ってもな」
「脂残ってたんだな」
「髪の毛なんて整髪料いらなくて」
髪の毛の脂でというのだ。
「整ったけれどな」
「どれだけ凄いんだよ、脂」
「けれどその脂が」
今ではというのだ。
「すっかりだよ」
「なくなったんだな」
「身体から出して食べて捕球しなかったら」
「そうなんだな、じゃあこれからもな」
「うん、健康にもなったし」
脂肪肝がなおりコレステロールも糖分も減ったのだ。
「だからね」
「このままジムに通ってサウナに入るわね」
「それで料理も頼むよ」
「わかってるわ、健康的なのをね」
「お願いするね」
「そうしていくわ」
妻は笑顔で応えた、そうしてだった。
村田は脂がない様にしていった、だが整った外見になってもかつての彼の姿は社内でもよく知られていて。
「前の村田さん知ってるからね」
「あの脂ぎった」
「結婚されてるしもう大きなお子さんおられる年齢だし」
「声をかけるのはね」
「色気もないから」
だからもてなかった、だが村田はこのことは何とも思わなかった。
「もてなくても奥さんいるから」
「いいのね」
「うん、これからも宜しくね」
「わかってるわ」
妻は笑顔で応えた、そうしてだった。
浮気をしない夫と一緒にいた、痩せてルックスが整い脂もなくなった彼と。そして一家は息子も入れて幸せに過ごしたのだった。
おじさんが痩せると 完
2024・11・18
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