暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
新しい国
[6/6]

[8]前話 [9] 最初
私の言葉を、ナギが制する。
「ルークがお前のためについていきたいって言ったんだ。それを拒否したら、ルークの気持ちを否定することになる」
「……」
「ルークもわかってるさ。オレたちの旅がどれだけ過酷か。それを知ったうえで、オレたちと一緒に行きたいんだよ」
 ナギにまで説得され、私は黙考する。確かにルークの気持ちも受け止めてあげたいけど、ボストロールにやられた怪我を思い返すと、いつまたあんなひどい怪我をしてしまうか心配になる。この先、ボストロールよりも強い魔物が私たちの前に立ちはだかるのは明白だ。そんな旅に、ルークを巻き込むのは忍びない。
「でも私は、ルークがまた傷つくのを見たくないよ。ナギも心配でしょ?」
 だが、ナギは理解しかねるといった表情で返す。
「それは、オレたちだって一緒だろ?」
「そうだよ、ミオ。君だって、戦いで怪我をするかもしれない。最悪、命に関わることもあるかもしれない。僕だけ特別視するのはおかしいだろ?」
「ま、まあ、確かに……」
「そもそもラーの鏡を探すとき、一人で何体もの魔物と戦って、傷だらけになってたじゃないか。忘れたとは言わせないよ」
 そう言えば、ゾンビマスターが呼び出した腐った死体たちと戦ったとき、何発か攻撃を食らってたっけ。
「それに、ミオとまた一緒に武術の修行を積めば、ミオだって今よりもっと強くなれるよ。武器の使い方だって教えるし」
 うーん、確かに同じ武術が使えるルークと一緒にトレーニングすれば、今以上にレベルアップ出来るかもしれない。
 そもそもルークは私が思っている以上に強いのだ。今までの彼の戦い方を見る限り、ちょっとやそっとじゃやられるような人ではないはずだ。
「……そうだね。戦力的にも、ルークくらい強い人がいたらこの先魔物との戦いも安心かもしれない!」
「あー、でもオレらがいいっつってもさ、リーダーの陰険勇者が首を縦に振らない限り難しいかもな」
「ああ、そうかもね……」
 せっかくルークの加入に乗り気になったと思ったのに、ナギの至極もっともな意見にすぐさま意気消沈する。
 一気に雰囲気が暗くなり、ルークも何事かと不安そうな顔になる。
「僕が仲間に入ることが、そんなにダメなことなの?」
「つーか、オレらの意見は大体否定されるんだよな。要するにひねくれてんだよ、あいつ」
「ふうん。じゃあ、否定されないような理由を作ればいいんじゃないかな」
「否定されないような理由?」
 私が問うと、ルークはいたずらっぽく笑った。
「うん。きっとユウリも、納得するんじゃないかな」
「??」
 私はナギと顔を見合わせたが、なんのことかさっぱりわからなかった。







[8]前話 [9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ