第3部
サマンオサ
新しい国
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く職場に行ってしまったの。今日は仕事が休みのはずなんだけど……」
「そうなんですか……」
もしこのまま会えなかったら、またあの頃と同じ寂しさを味わうかもしれない。私は意を決してコゼットさんにお願いした。
「あの、もう少し待たせてもらっても大丈夫ですか?」
図々しいお願いなのは百も承知なのだが、このまま挨拶もせずにお別れするのは悲しすぎる。隣にいたナギも必死に懇願する私の姿を見て思うところがあるのか、止めずにいてくれた。
「もちろん。あの子もこのままミオさんとお別れするなんて考えてないはずよ。遠慮しないでリビングで待ってて」
「ありがとうございます!」
コゼットさんの気づかいに、私は感謝の言葉を告げる。
「あなたと出会ってから、あの子はずっとあなたのことを私に話してくれるの」
私たちをリビングに案内しながら、コゼットさんはそんなことを話した。
「私のこと……ですか?」
一体どんなことを話しているんだろう、とドキドキしながらコゼットさんの次の言葉を待つ。
「あなたのことを話しているときのルークは、それはもうとても楽しそうに話すのよ。それでつい私も自分の子供のことのように聞き入ってしまうの」
「そ……そうなんですか」
どんな内容なのか聞くに聞けず、思わず曖昧に頷いてしまう。
「へえ、例えばどんな?」
ナイス、ナギ!! 私は心の中でナギを褒め称えた。
「カザーブにいた時、武術の先生の授業を二人でこっそり抜け出したこととか、あなたの家に遊びに行ったこととかかしら。小さいころのミオさんって、意外とおてんばだったのね」
「えっ、そんなこと言ってたんですか!?」
予想外の内容に恥ずかしくなり、私はつい声を荒げる。
「まあ、武術の修行をしたがる時点で相当なおてんばだよな」
ナギまで余計なフォローしないでいいのに!! ああ、こんなことなら聞かなきゃよかった。
「もしあなたが私の娘だったらきっとこの家も楽しいでしょうね。なんて、ふふ。冗談よ」
そう言って笑うコゼットさんは、心なしか照れ臭そうだった。私も、ルークやコゼットさんとこんな風にお話したら、きっと楽しいんだろうなあ、そう思わずにはいられなかった。
バンッ!!
するとちょうどリビングに入る手前で、玄関の扉が勢いよく開いた。
「ただいまっ!!」
扉が開くと同時に入ってきたルークは、急いで走ってきたのか息を切らしていた。
「あっ……、二人とも来てたの!? あれ、他の二人は?」
「ユウリとシーラはモンスター格闘場に行っちゃった。それより、あれから怪我の具合はどう?」
私がルークのお腹に視線を向けたことに気づいたのか、ルークはだらしなく出ていたシャツの裾を慌ててしまった。
「ああ、あの怪我ならもう大丈夫だよ。シーラが治してくれたから」
「よか
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