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俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
新しい国
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のは私たちだけではない。むしろルークこそ、この場にいなければならない人間なのだ。
「そうであったか……。ならばルークとやらにも礼をせねばならんな。して、彼は今どこにいる?」
 私はルークの家がある場所を王様に伝えた。正確な住所はわからないが、近くの建物の特徴や名前を教えたら、傍にいる兵士の一人が王様に伝えてくれた。
「うむ。ではルーク及びその家族には、最低限の生活を保障すると約束しよう。さらにサイモンは魔王軍に立ち向かったサマンオサの英雄として、後世までその武勇を伝え残そう。これでサイモンの汚名をそそぐことが出来れば良いのだが……」
「ありがとうございます。きっとルークも喜ぶと思います」
 王様の配慮は今のルークにしてみれば好待遇だろう。けれど、サイモンさんへの風評被害がこれでなくなるかはわからない。
 ただ、少しでもルークやコゼットさんの生活が楽になるのなら、それは願ってもないことだ。
「殿下。実は我々は、魔王を倒すためにどうしてもサイモン殿にお会いしたいのです。彼がいるという『祠の牢獄』とは、一体どこにあるのですか?」
 ユウリの問いに、王様は沈痛な面持ちで答える。
「そうであったか。だがそこは、並大抵の覚悟ではそこにたどり着くことすら叶わぬ。何故ならその牢獄は、この大陸よりはるか遠い、地図にも載らぬような孤島にあるのだ」
「地図にも載らない……? そんな場所があるのですか?」
「国を揺るがすほどの罪人が収容される場所だからな。世間的にはその存在自体秘密とされている。昔は別の場所にも流刑地があったとされるが、年月が経つうちに誰も知る人がいなくなってしまってな、新たに祠の牢獄を流刑地として選んだのだ」
 知る人が少なすぎて、次第に知っている人すらいなくなってしまったと言うことだろうか。私はふと、ルザミの島にいる元サマンオサの男性を思い出した。
「我々はどうしてもサイモン殿に会いたいのです。どうか場所を教えていただくことは出来ないでしょうか?」
 王様はしばし悩んでいたが、やがて決意を固めたように手で膝を叩いた。
「わかった。祠の牢獄の場所についてはあとで臣下に調べるよう伝えておこう。他に困ったことはないか?」
「いえ、我々のためにここまでご配慮していただいただけでも身に余るお言葉でございます」
「そう堅いことを言うでない。そなたたちは私の命の恩人だからな。また助けが欲しくばいつでも来るがよい」
「ありがとうございます。この国に平和と繁栄が訪れることを願っております」
 ユウリが恭しくお辞儀をすると、王様は優しく頷いた。そして私たちが玉座の間を離れるときも、王様は私たちを笑顔で見送ってくれた。



「とりあえず一件落着だな」
 玉座の間を出てから、肩の荷が下りたように息を吐いたのはナギだった。
 今までサマ
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