第二章
[8]前話
「最近ネットでやたら外国人とか自分と考えが違う相手の悪口言う奴いるだろ」
「ネット何とかね」
「あの連中自分の都合のいい話を都合よく解釈するな」
「人のお話聞かないでね」
「自分に都合のいい話以外な」
「馬鹿な連中ね」
「あの連中にそうしたマルチやった奴いてな」
時雄は優にさらに話した。
「まともに引っ掛かってな」
「騙されて」
「ああ、愛国だの日本だの広告で言われて」
「それでなのね」
「金思いきり巻き上げられたらしいな」
「どんなマルチ?」
「こんなのだよ」
時雄は優にその広告を見せた、確かに日本がどうとかある国がどうとか書いてあるが。
その実マルチ広告そのものだった、優はその広告を見て思った。
「こんなのに騙される?」
「俺もそう思うよ、普通はな」
「騙されないわね」
「マルチだからな」
「どう見てもね」
「こんなのネタでな」
時雄はここでもこう言った。
「騙される奴なんていないってな」
「思ってたのね」
「けれどいるんだな、しかも騙されてるって自覚がな」
それがというのだ。
「ない奴多いらしいな」
「信じられないわね」
「ああ、けれどマルチに騙される馬鹿はいるな」
「ネタみたいな胡散臭いのに」
「それは事実だな」
「そうなのね、世の中色々な人がいるわね」
「そうした意味でもな、俺達はな」
時雄は今度は自分達のことを話した。
「騙されない様に」
「普通は騙されないけれどね」
「気を付けないとな、確かに普通はな」
優の言う通りにというのだ、笑って言った。
「騙されないけれどな」
「気を付けていきましょう」
「胡散臭いマルチにはな」
こう言うのだった、そして後日そうした連中がまた同じ様な手口で金を巻き上げられると聞いだった。本物は何度も引っかかるのだと二人で思ったのだった。
悪質マルチ 完
2024・11・17
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