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金木犀の許嫁
第四十一話 デートの後の夕食その十一

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「そうすべきですね」
「中庸をです」
「守って」
「そのうえで、です」
「やっていくことですか」
「そうです」
 実際にというのだ。
「極端にはならない、自分しかなくなると恥も外聞もです」
「なくなるので」
「恥を恥と思わなくなれば」
 その時はというと。
「最も恐ろしい腐敗がはじまります」
「羞恥心がないとですね」
「そうなれば」
 その時はというと。
「何をしても平気なので」
「腐る一方ですか」
「そうです、まさにです」
 幸雄は真昼に真面目な顔で話した。
「腐りきって人ですらなくなる」
「そうしたですね」
「一歩ですので」
「極端になるとですね」
「そうです、自分しかなくなり」
 そうなりというのだ。
「恥も外聞もなくなり」
「恥を恥と思わなくなって」
「どんな汚いこと、恥ずかしいことをしても平気になるので」
「自分しかないからですね」
「そうなってしまい」
 そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「腐りきって」
「人ですらなくなって」
「それで、ですか」
「餓鬼にもなります」
「極端になるとそうなるんですね」
「嫌いな立場の人の行いに怒っても」
 それでもというのだ。
「自分も同じことをして」
「そうしても平気なんですね」
「そのことにすら気付かない」
「そうもなるんですね」
「嫌いな相手を攻撃し貶めるなら」
 そうしてもというのだ。
「嘘を吐いても工作をしても平気になります」
「最低ですね」
「そうです、最低です」
 幸雄は真昼にその通りだと答えた。
「ですから極端になっていると思えば」
「その時はですね」
「もうです」 
 それこそというのだ。
「すぐにです」
「戻ることですか」
「そうすべきです」
「それは左右関係ないんですね」 
 夜空は幸雄にカレイを食べつつ応えた。
「もう」
「百八十度進めば辿り着く先は同じですね」
「確かに」
 夜空はそう言われて頷いた、頭の中で右を時計回り、左を反時計回りに動くものとして考えてそのうえで答えた。
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