第八幕その五
[8]前話 [2]次話
「ちゃんと嬢ちゃん達も飲める子供用の酒もあるからな」
「飲んでいいんですね」
「そこにな」
そのラム酒にというのです。
「ライムを絞った汁を入れてな」
「飲みますね」
「それが船乗りの飲み方なんだよ」
「そうそう、そうして飲まないと」
ジムがここで言ってきました。
「壊血病になるからね」
「外の世界じゃそうだったな」
「それで今もね」
「わし等はそうして飲んでるんだよな」
「船の上だとね」
「それで今日も昼もな」
「副大統領が作ったお料理とね」
「そっちを楽しもうな」
「そうしようね」
こうしたお話をしてでした。
皆は船での時間を過ごすことになりました、船は出港して港町の傍の海を遊覧しはじめました。そうしてです。
皆で甲板の上にテーブルと席を出してジョンが作ってくれたお料理を楽しみました、どのお料理もとても美味しくてです。
皆青い海と空を眺めつつ食べてです、笑顔で言いました。
「いやあ、こうして海の上で食べるって」
「このこともいいね」
「ジョンさんのお料理も美味しいし」
「ライム汁を入れたラム酒もよくて」
「いいわね」
「喜んでくれて何よりだ、遠慮はいらないからな」
ジョンも食べています、そのうえでナターシャ達五人に言うのでした。
「どんどん食ってくれよ」
「わかりました、ただ」
ナターシャはオムレツ、大きくてケチャップをかけたそれを食べつつ言いました。
「ジョンさんは海賊で」
「ああ、大統領達とな」
「裏切ったりして」
「何度もやり合ったな」
「そうでしたね」
「それは昔のことでな」
それでとです、ジョンはバーコンとジャガイモをバターで炒めたものを食べながらそのうえで答えました。
「今はな」
「ああしたことはですか」
「しないさ、わしは地獄に行くってな」
その様にというのです。
「思っていたけれどな」
「オズの国におられますね」
「嬉しいことにな、多分な」
「多分?」
「わしを好いてくれる人が多くてな」
そうであってというのです。
「オズの国に来られたみたいだな」
「そうなんですね」
「ああ、どうもな」
そうだというのです。
「わしが思うにな」
「君は確かに悪人だったね」
かかしも言います。
「けれどね」
「それでもですか」
「何処か憎めないところがあって」
そうであってというのです。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ