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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第百話 乖離
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いものでもない…。
「そうですね…第八艦隊はアムリッツァ外縁まで後退させて下さい。第十一艦隊も敵状を見つつアムリッツァ外縁まで後退させましょう。不必要に帝国艦隊を刺激する必要はありません」
「了解致しました…では後は宜しくお願いします」
ビロライネン中将は形ばかりの敬礼をすると、作戦室を出て行った。私が大きくため息をつくと、グリーンヒル大尉が心配そうな顔をしていた。
「ビロライネン閣下はあまり…協力的ではないように見受けられますが」
「昨年の戦い以降上役が居なくなって、いきなり指揮を任されたんだ、嫌にもなるさ。非協力的、というよりは本来の任務に戻れてホッとしているんだと思うよ。退官間近でもあるしね」
突如最前線で六個艦隊の統率を任されたのだから、その心労は察するに余りある…しかもそのうちの五個艦隊の司令官は自分と同格なのだ。思うように口に出せない思いもあっただろう……私はどうなのだろう、自分の艦隊も含め五個艦隊。うまく指揮出来るだろうか。方面軍司令官として着任した私を、駐留の艦隊司令官達はどう思っているだろうか…いけないな、これではいけない…。


6月24日08:00
フレデリカ・グリーンヒル

 「閣下、おはようございます」
「やあ、おはよう大尉」
…どうしたのかしら。閣下が朝に弱いお寝坊さんなのは分かっているけれど、今日は何時にもまして覇気が感じられない…。
「大尉、朝食は作戦室で食べる事にするよ。ユリアンが準備してくれているから、済まないが受け取って来てくれるかい?」
「了解致しました」
作戦室に向かう背中はまるで、エル・ファシルの頃の中尉時代みたい……あ、朝食を取りに行かないと。

 「おはようございます、大尉」
「おはようユリアン。閣下の朝食を取りに来たんだけど、支度は済んでいるかしら」
ユリアンは部屋の奥に引っ込むと、大事そうに朝食の載ったトレーを運んできた…彼なら何か聞いているかも知れない。
「あら、サラダラップね。美味しそう」
「まだ余分にありますよ。大尉も食べますか?」
「いいの?実は私も朝食まだだったのよね…ところでユリアン、閣下があまり元気がないようなんだけど…何か心あたりはない?」
ユリアンは首を傾げて考え込んだ。
「そういえば…此処に来てからは酒量が増えていますね」
「酒量…」
「はい。提督は詳しくは話してくれませんが、何か悩んでいる印象はありますね」
やっぱり何か気にかかる事があるんだわ…。
「ありがとうユリアン。じゃ私も一つ頂いていくわね」

 ユリアンと別れて作戦室に向かう途中、ラップ参謀長に声をかけられた。参謀長は何かご存知かしら…。
「うまそうなサラダラップじゃないか。一ついいかな」
「あ」
参謀長は言い終わらないうちにサラダラップを一つつまんで口に入
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