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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第百話 乖離
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てくれ」

 医務室を出て、応接室に向かう。何が起こるか分からない、今後は応接室の警護を厳重にせねば…警護兵が先に応接室に入り、異常の有無を確かめる…異常はない様だ。
「室内は大丈夫ですな、お二人共お入り下さい…許可が出るまで応接室を出るのを禁じます。お二人の安全の為です、では」
ヴェストパーレ男爵夫人は何やら言いたげな顔をしたが、諦めて頷いた。こういう時には女共には何も言わせないのが一番だ…艦橋に戻ると、グライフスが頭を下げてきた。
「狼狽し、お見苦しいところをお見せして申し訳ありませんでした。統帥本部総長に事態を報告したところ、事態の究明に全力を尽くせ、との事です。帰投日時の変更はありません」
「頭をあげよ。私は宇宙艦隊の命令系統に入っておらんのでな…私が報告するより卿が報告した方がいいだろう、と思ったのだ。そうか、変更なしか」
「はい。急に予定を変更すれば騒ぎだす輩がおるやも知れん、とも申されておりました」
「そうか、充分に考えられる事だな」
艦内には箝口令が敷かれているから、しばらくの間はこの変事が洩れる事はないだろう。このまま予定通りの日程で往路を進めば、実行者の背後に存在する者達も状況は掴みづらい…。
「だが、何時かはバレる。総参謀長、元帥閣下は自らの後任について何か卿に言ってなかったか」
「いえ…特には」
「そうか…軍医の話では、閣下の傷が癒えるまで最低でも三ヶ月はかかるそうだ。宇宙艦隊司令長官の代理が必要になるが、卿の目からみて、誰が適任だと考える?」
「代理という事であれば、副司令長官がその任にあたるのが適当でしょうが…」
グライフスが言い澱むのは理解出来た。ミューゼルは辺境守備の為に副司令長官職に任じられたばかりであり、奴を代理にするとなると辺境守備の指揮を執る者がいなくなってしまう。仮にその点をクリアして代理に任じたとしても、首都に残る艦隊のほとんどはミュッケンベルガー閣下の腹臣がほとんどだ。若くそれほど実績のないミューゼルの指揮を受け入れるかどうか…かといって他に適任の者が居るのか…。



宇宙?796年6月23日19:00
アムリッッア星系、カイタル、自由惑星同盟軍、アムリッッア方面軍司令部、司令部作戦室、
ヤン・ウェンリー

 「司令官、現在の状況は我々の対処能力を越えているのではないですか」
ラップはお手上げだ、と言わんばかりにそう言った。
「そうだね。少なくとも、今のところはこちらから手を出せないな」
ヴィーレンシュタイン宙域で消息を絶った通報艦の報告によると、帝国軍は同星系に大規模な根拠地を造りつつあるという。辺境領域の入口であるヴィーレンシュタインに根拠地を造るという事は、ここを拠点に腰を据えて我々に対処するという決意の表れだろう。
「手出すなんてとんでもない。シャンタ
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