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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第百話 激戦の予感
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八〇〇時です」
「そうじゃった。本意ではなかろうが、健闘を祈っておるよ」
「ありがとうございます。必ず無事に戻って参ります」

 さあ、出発だ。執務室に戻るとミリアムちゃんが用済みになった書類のコピーとかをシュレッダーにかけていた。しばらく留守にするんだから必要な措置でもある……本意ではない、か…。確かに本意じゃない。本格的に帝国に攻め入るのは、せめて皇帝が死んでからの方が望ましかったんだ…原作の様に帝国はラインハルト頼りという訳じゃないから、ああも鉈で竹を割った様にハイ内戦、ラインハルト鎮圧宜しくね、とはならない筈だし、こっちの戦力も健在だから内戦が発生しても付け入る隙は充分にある。だけど、気になるのはフェザーンだ。フェザーンがおとなしい、というかおとなしく見えるのだ。まあ、転生前の様に全ての陣営を俯瞰して見れる立場ではないからそう思えるのかも知れないけど…ルビンスキーの性格からいって、捕虜交換の裏でテロとか企んでいてもおかしくはないのに、その捕虜交換もすんなりと終わってしまった…。
「どうかなさいましたか、閣下」
「え?」
「なんだか浮かない顔をしていらっしゃるので、何かあったのか思いまして」
「いや、何でもないよ。書類整理はどうかな」
「終了です」
「じゃあ…少し早いけどランチにしようか。しばらく食べに行けないから、今日は豪勢に三月兎亭(マーチ・ラビット)にでも行こうか」
「了解いたしました。奥様に連絡いたしますか?」
「頼むよ。ああ、副司令や参謀長達にも声をかけてくれるかい?」
「かしこまりました」



帝国暦487年6月20日18:35
アイゼンフート宙域、銀河帝国、銀河帝国軍、宇宙艦隊総旗艦ヴィルヘルミナ、
エーバーハルト・フォン・ヒルデスハイム

 まさか、まさかこの艦内でこんな事が起こるとは…。
「自白はしたか」
「いえ。申し訳ありません」
「卿を責めているのではない、リューネブルク。責めてもどうにもならん…艦長」
「はっ」
「卿はリューネブルク少将と協力し、艦内保安の指揮を執れ…グライフス総参謀長」
「はっ」
「この後だが、どうする」
「どうする…と申されますと」
「元帥閣下が賊の手にかかって倒れたのだぞ。総参謀長として腹案があろう」
「賊の背後関係を明らかにし…」
「それだけではないだろう、総参謀長」
こんな想定しにくい状況で腹案というのは少々酷かもしれない…グライフスも気が動転しているのだろう、まずは統帥本部総長に報告しなければならない事を忘れている…。

 変事が発生したのは三十分程前だった。ミュッケンベルガー元帥が襲われたのだ、このヴィルヘルミナの艦内で…捕らえられたのは閣下の従卒だった。従卒は、閣下の夕食に毒を盛った上、刺したのだ。閣下の部屋の外に立っていた
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