第七百七十五話 露天風呂その五
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「そうした遊びはね」
「お金を使うだけでね」
「無駄よね」
「ええ、ドフトエフスキーさんなんて」
アンネットは今度はこの文豪の話をした、トルストイと並ぶロシア文学の巨頭としてこの時代でも知られている。
「ギャンブル狂いでね」
「そうだったの」
「何かあったらね」
それこそというのだ。
「ギャンブルをする」
「そんな人だったの」
「それも一旦はじめたらのめり込んで」
そうなりというのだ。
「歯止めが利かなかったそうよ」
「そこまでだったの」
「文豪でもね」
そうであることは事実だがというのだ。
「そうしたところがあったのよ」
「文豪といえど人間だし」
「だからお金もね」
こちらもというのだ。
「かなりね」
「なかったのね」
「そうだったの」
まさにというのだ。
「本当にね」
「そうだったのね」
「そして」
「そして?」
「多分シベリアにいた時も」
四年程流刑にされていた時期があったのだ、この時代のシベリアへの流刑はただそこにいるだけで強制労働等はなかったらしい。
「ギャンブル出来なくて」
「困ってたかしら」
「それか一緒にいた人達と」
そのシベリアにというのだ。
「賭けるものなくてもゲーム自体をね」
「していたの」
「そうじゃないかしら」
アンネットは自分の予想を話した。
「だってやることないし」
「シベリアにいたら」
「ただ抑留されているだけで」
「本を読まないの?」
彰子は彼が作家であることから話した。
「そっちは」
「ああ、聖書だけ持っていたそうよ」
「聖書で四年間ね」
「辛いでしょ、それだと」
「確かにね」
その通りだとだ、彰子も答えた。
「それだと」
「そう、それでね」
「ギャンブルしてたのね」
「お友達見付けて」
そうしてというのだ。
「賭けるものがなくてもね」
「ゲームをしていたのね」
「そうかもね。兎に角ギャンブルがないとね」
「生きられない人だったのね」
「それで本の印税もね」
当然そちらで生計を立てていた、ドフトエフスキーは生前からかなり名を知られた作家であったのだ。
「そっちによ」
「大分使っていたのね」
「そうだったのよ」
「それはよくないわね」
彰子はここまで聞いて一言で述べた。
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