第百四十八話 本物その十二
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「それこそね」
「そうよね」
「もうね」
「だったらね」
「布施餓鬼はしないで」
「人に対してね」
「行うことね」
「生きものの保護活動だってよ」
こちらもというのだ。
「いいのよ」
「そうよね」
「そうしたらね」
「徳を積むから」
「だからね」
「あんた布施餓鬼しないのね」
「何があってもね」
それこそというのだ。
「しないわよ」
「信念感じるわね」
「布施餓鬼なんてね」
富美子は今度は忌々し気に言った。
「何があってもね」
「しないのね」
「人間の屑がなるのよ」
餓鬼はというのだ。
「それでね」
「そうよね」
「そう、本当にね」
まさにというのだ。
「苦しめってね」
「なるのね」
「私の親戚にはいないけれど」
それでもとだ、富美子はこう前置きして話した。
「お家で揉めて家出したけれど」
「何かあったの?」
「家族を苦しめる為にね」
そのことを狙ってというのだ。
「お家のお金全部持って行った人とかね」
「それ相当性格悪くないとね」
ケニアの娘はその話に呆れて言った。
「出来ないわね」
「そうよね」
「ええ、家族にそんな人いたら」
「絶対に餓鬼になるって思うでしょ」
「仏教だとね」
「そうよ、こんな人がげ」
「餓鬼になるのね」
「そう思うからよ」
「布施餓鬼はしないで」
「苦しめってね」
その様にというのだ。
「思うのよ、本当にね」
「あの、それでその家出した人どうなったの?」
ケニアの娘は富美子にそのことを尋ねた、家族を苦しめる為に家の金を全部持って行ったという悪事に呆れつつ。
「一体」
「戻ったわ」
「お家に?」
「それでも家族は許してね」
「そうなの」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「元に戻ったけれど謝ることはね」
「しなかったのね」
「そうなのよ」
「いや、私だったら許さないわ」
「私もよ、何でもいつもね」
富美子も眉を顰めさせて話した。
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