第百四十八話 本物その十一
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「生きていて害にしかならない」
「悪いことばかりしてね」
「自分しかなくてね」
「そんな奴が餓鬼になるから」
「それならよ」
富美子に怒った顔で言った。
「もう餓鬼は徹底的にとっちめないとね」
「そう思うわね、だから布施餓鬼ってあるけれど」
富美子は仏教の子の徳積みについて話した、禅宗の僧侶が食事のうちの米数粒を餓鬼達に布施として与えたりすることもそれに入っている。
「私絶対によ」
「しないのね」
「自分が屑って思う大嫌いな奴がよ」
「餓鬼になるって思ったら」
「それならね」
それこそというのだ。
「絶対によ」
「布施餓鬼なんてしない」
「そう思うから」
「あんたはしないのね」
「そうよ、苦しめばいいのよ」
餓鬼道の餓鬼達はというのだ。
「どうせ感謝もしないし」
「餓鬼って感謝もしないの」
「だから人間の美徳がね」
そう呼ばれるものがというのだ。
「一切ね」
「ないのね」
「それが餓鬼でね」
そうであってというのだ。
「誰かに何かしてもらってもね」
「感謝なんてしないのね」
「それですぐに意地悪とかして」
その時分に何かしてくれた相手にだ。
「不平不満や悪口ばかりね」
「言うのね」
「そう、自分のことばかりで」
「人に何かしない」
「何かしても悪いことで」
所謂悪行だけ行うというのだ。
「欲深くてケチだし」
「何かすることはないのね」
「そうよ、餓鬼は苦しめる」
それも徹底的にというのだ。
「それでいいのよ」
「あんたよく募金とかするでしょ」
「それは本当に困っている人達にするもので」
そうであってとだ、富美子は真顔で話した。
「餓鬼なんかにはね」
「しないの」
「卑しくて浅ましい悪いことしかしてこなかったからよ」
「餓鬼になったから」
「もうね」
それこそというのだ。
「何かするなんてね」
「ないのね」
「精々苦しんでね」
「生きてればいいのね」
「死なないらしいけれど」
そうして餓えと渇きに苦しむのだ。
「それならいいでしょ」
「死なないなら助ける必要なし」
「そうよ、あんただって自分が大嫌いな人助ける?」
「死ねばいいと思うわ」
ケニアの娘はきっぱりと答えた。
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