七十五匹目
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ポーチに入れて鑑定するとわかるが、栄養素や旨味成分や細胞構造が壊れている。
「んぁー。スープに状態固定かけてみるか」
左手のスプーンで失敗作のスープを食べつつ、右手でメモに追記する。
数行なので、即座に追記が終わる。
別の皿にまたスープをよそって、魔法を発動。
「フリーズドライ」
よそったスープがカチコチに凍りつき......。
「あー。そうなるか」
魔法は失敗。
凍りつき、真空状態までは行ったが、水分が飛ばなかった。
「解除」
メモに更に追記。
構造強化の対象から水分を除外。
僕の魔導書はプログラミング的な書き方なので、除外したいときは一文加えるだけでいいのだ。
「フリーズドライ」
今度はしっかり発動し、障壁の空気穴から白い水蒸気が出た。
失敗作のスープを食べ終わると同時に、水蒸気が出なくなった。
「解除」
結界、減圧、低温、構造強化の全てが消える。
「成功っぽいなぁ」
一度アストラルポーチに入れて鑑定すると、構造も、栄養素も旨味成分も壊れていないようだ。
再びお湯を注ぎ、スプーンで掬う。
「うん。美味しいな」
ちゃんと野菜や魚の食感が復元されている。
「ふう。お腹いっぱい」
夕食後にスープ2杯は結構きついかも。
「んぉー……」
閑話休題。
これを練兵場で売ろうかと考えたが。
「無理かなぁ」
コストがかかりすぎる。
物質的ではなく、人的コストだ。
この魔法僕以外習得できるんだろうか。
無理っぽいよなぁ。
中級魔法だぞ中級魔法。
しかも属性複合型で結界術。
これ作れるレベルの人材に払う金も考えると商品化は無理だ。
後ろを振り向く。
僕の行動を面白そうに見ている十数人のメイドたち。
いや集まりすぎだろ。
明らかにキッチン担当じゃないのもいるじゃん。
何してんのさエリザは。暇じゃないでしょ貴女。
「どうされましたか?お坊っちゃま?」
「お前達の中で、今の魔法使えるの居る? 今は理解できなくても、教えたら出来そうなのも含めていいから」
と尋ねるとメイド達は顔を見合わせた。
手を上げたのは数名。
例の強そうなメイドとエリザと他数名。
前者はお父様が言ってたシルキーメイドだろう。
「そうか。やっぱそうなるよな」
エリザが前に出る。
「シラヌイ様以外だと、先程の数倍の魔力を必要とするでしょう」
「わかってるよ」
「保存食のように見えましたが、新商品ですか?」
「そのつもりだったんだけどね。加工用魔法を使えそうなのがこれじゃお蔵入りだろうね」
「そうです
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