七十四匹目
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
で全身を操る。
魔法で作り出された水が全身に行き渡る。
カシャン、シャランと風鈴のような音と共に、純結晶女騎士が居合の構えを取る。
純結晶女騎士を構成する物質はスライムコア、水、石英ガラス、そしてダイアモンド。
そのダイヤモンドでできたエッジを持つ一振りの剣に手をかける。
「ティア。僕の魔力量はわかってるね?たぶんまだ連戦するから使いすぎないように」
『問題ありません。一撃で仕留めます』
純結晶女騎士の背部にあるフレキシブルスラスター。
背中に一対備わった単純な箱型のそれの中に、空気が圧縮される。
風属性魔法と火属性魔法の複合魔法”ジェット”。
さらに全身の小型スラスターにもジェットによって空気が圧縮される。
加えて刀身。
4M製の刀身が魔力を纏う。
『征きます』
純結晶女騎士が居合斬りとともに風刃抜刀を発動。
居合とともに放たれる真空の斬撃。
それだけではない。
抜刀の勢いのまま、全身のスラスター内部に圧縮した空気を開放と同時に熱し膨張させる。
得られた莫大な推力を以て前方へ飛翔する。
風刃抜刀で真っ二つに切り裂かれたゴーレムが地に崩れるより早く。
純結晶女騎士が地に足をつけ、急制動。
純結晶女騎士の抜いた剣の鋒が対戦相手の首筋に当てられた。
『勝負あり』
ゴゴン、ガララ、パシャンと崩れ落ちたゴーレム。
対戦相手がペタリと座り込む。
「そら次!」
とアトラさんが言うが誰も出てこない。
そりゃそうだ。
遠距離は通じない上に、近接に持ち込むには護衛のゴーレムを潰す必要がある。
我ながら戦いたくない相手だ。
「居ないのか。なんだ腰抜けめ。そんなんで魔法師団の団員が務まるか。
ナルツィッセ!手本を見せてやれ!」
教官モードに入ったらしきアトラさんが新人達を叱責したかと思えば、トゥルペさんの側近の名を呼んだ。
正面の、定位置についた女性。
さっきまで一緒にいた獣人のお姉さん。
青みがかった灰髪の。
キリッとした顔立ち。
ショートカットからピョコンと立った”狼”耳。
「ごめんね。シラヌイ君。ご指名だからさ」
彼女は杖を持っているが、装飾の少ない棒のようなデザイン。
さらに僕のように指輪をつけていたり、腕輪足輪の類をつけている。
たぶん杖はブラフ。
彼女が僕に似たスタイルだとすれば。
「試合開始!」
思い切り防御を固める。
伝承の竜の吐息すら弾くであろう十重二十重の障壁。
予想通り、杖はブラフだった。
彼女の初撃は投擲だった。
杖を用いたそれは、僕の防御のほぼすべてを貫通した。
残り2
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ