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人徳?いいえモフ徳です。
七十四匹目
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で全身を操る。

魔法で作り出された水が全身に行き渡る。

カシャン、シャランと風鈴のような音と共に、純結晶女騎士が居合の構えを取る。

純結晶女騎士を構成する物質はスライムコア、水、石英ガラス、そしてダイアモンド。

そのダイヤモンドでできたエッジを持つ一振りの剣に手をかける。

「ティア。僕の魔力量はわかってるね?たぶんまだ連戦するから使いすぎないように」

『問題ありません。一撃で仕留めます』

純結晶女騎士の背部にあるフレキシブルスラスター。

背中に一対備わった単純な箱型のそれの中に、空気が圧縮される。

風属性魔法と火属性魔法の複合魔法”ジェット”。

さらに全身の小型スラスターにもジェットによって空気が圧縮される。

加えて刀身。

4M製の刀身が魔力を纏う。

『征きます』

純結晶女騎士が居合斬りとともに風刃抜刀を発動。

居合とともに放たれる真空の斬撃。

それだけではない。

抜刀の勢いのまま、全身のスラスター内部に圧縮した空気を開放と同時に熱し膨張させる。

得られた莫大な推力を以て前方へ飛翔する。

風刃抜刀で真っ二つに切り裂かれたゴーレムが地に崩れるより早く。

純結晶女騎士が地に足をつけ、急制動。

純結晶女騎士の抜いた剣の鋒が対戦相手の首筋に当てられた。

『勝負あり』

ゴゴン、ガララ、パシャンと崩れ落ちたゴーレム。

対戦相手がペタリと座り込む。

「そら次!」

とアトラさんが言うが誰も出てこない。

そりゃそうだ。

遠距離は通じない上に、近接に持ち込むには護衛のゴーレムを潰す必要がある。

我ながら戦いたくない相手だ。

「居ないのか。なんだ腰抜けめ。そんなんで魔法師団の団員が務まるか。
ナルツィッセ!手本を見せてやれ!」

教官モードに入ったらしきアトラさんが新人達を叱責したかと思えば、トゥルペさんの側近の名を呼んだ。

正面の、定位置についた女性。

さっきまで一緒にいた獣人のお姉さん。

青みがかった灰髪の。

キリッとした顔立ち。

ショートカットからピョコンと立った”狼”耳。

「ごめんね。シラヌイ君。ご指名だからさ」

彼女は杖を持っているが、装飾の少ない棒のようなデザイン。

さらに僕のように指輪をつけていたり、腕輪足輪の類をつけている。

たぶん杖はブラフ。

彼女が僕に似たスタイルだとすれば。

「試合開始!」

思い切り防御を固める。

伝承の竜の吐息すら弾くであろう十重二十重の障壁。

予想通り、杖はブラフだった。

彼女の初撃は投擲だった。

杖を用いたそれは、僕の防御のほぼすべてを貫通した。

残り2
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