七十四匹目
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くいくいと手で挑発してみる。
相手が杖を構え、詠唱を開始した。
腹話術のように唇の動きと声を最小限にして詠唱している。
魔法戦の心得というやつだろうか。
数秒の詠唱で、相手が撃ってきたのは雷魔法だった。
相手の杖からピッシャァン!と紫電が迸った。
「バリア貼っててよかった」
紫電は障壁に遮られ、こちらには届かない。
テスラコイルのそれのようにバリア表面を舐める紫電。
「お返しだ」
指輪に込めた魔法を呼び出す。
任意の形の氷を作り出して風魔法で打ち出す僕の得意魔法。
今は模擬戦なので、氷柱の先端を拳状にしておく。
紫電を受け止めつつ、氷の拳を50個ほど作り出す。
大人の腕くらいのそれらを一気に打ち出す。
紫電が止まる。相手は障壁を展開すべく詠唱しようとしたが、もう間に合わない。
相手は詠唱をやめて、横に大きく飛び退いた。
だがそれも間に合わない。
最初から詠唱せず避けていれば逃げ切れただろう。
50の氷の拳による面制圧の殴打。
大半が外れたが、命中した数発で相手は後ろにぶっ倒れた。
魔法使いなら無意識の障壁があるから致命傷は受けてないだろう。
「勝負あり。敗者はさっさと捌けろ。次の者!」
「ぼく連戦?」
「余裕でしょう?」
あ、文句は受け付けない感じですね。
初戦の相手は倒れたままずりずり引きづられて退場した。
次に出てきたのは青髪の女性。
いかにも水系使って来そう。
「試合開始!」
彼女の周りには、さっき僕が撃った氷が散らばっている。
彼女はそれらをも利用して、氷のゴーレムを作り出した。
さっき僕が撃った分と、彼女が新たに作り出した分。
できたゴーレムは2.5メートルくらいの大男だ。
そのうえ手先は泥を巻き込んだ氷水がドリルのように回転している。
「そーきたかー」
つくりだした水の制御優先権でゴーレムを奪ってもいいけど、それじゃあ面白くない。
左足のブーツに魔力を込める。
発動する術式はゴーレム生成。
土の中のケイ素と酸素と炭素だけを抽出し、結合させる。
自分のすぐ隣に形をつくる。
石英ガラスでできた身の丈2メートルの甲冑を被り、ダイヤモンド刃の剣を提げた女性型ゴーレム。
純結晶女騎士‐クリスタライト・メイデン。
「ティア」
『りょうかいますたー』
懐にしまっておいたピンポン玉サイズのスライムコアを取り出し、クリスタライト・メイデンの胸に嵌める。
「その氷のデカブツを破壊しろ」
『イエスマイロード』
純結晶女騎士の全身にはスリットがあり、そこに魔力の媒介となる水を通すこと
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