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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第227話:奮闘虚しく
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ったが、その時突如背中を何者かに押された。

「うぁっ!?」

 セレナの背中を押したのは空間魔法で手を突き出したベルゼバブであった。響と対峙していたベルゼバブであったが、奴は響からは死角になる所で空間に穴を開けそこに何も持っていない手を突っ込みグレムリンから逃れようとしているセレナの背中を押したのだ。突然背中を押されてバランスを崩したセレナは、グレムリンの凶刃から逃れるタイミングを完全に失っていた。

「ハハァッ♪」
「「セレナ(さん)ッ!?」」

 このままではセレナが首を断たれてしまう。そんな事になればガルドやマリアだけでなく多くの者が悲しみ涙を流す。そうはさせじと颯人は目の前の偽グレムリンを蹴り飛ばしつつコネクトの魔法でグレムリンの邪魔をしようとした。
 だがそれよりも早くにアリスが甲高くハーメルケインを吹き鳴らした。するとグレムリンがまるで雷に打たれたかのように体を強張らせ動かなくなる。

「うぐっ!?」
「セレナさんッ!」
「ッ! ハッ!」

 グレムリンが動かなくなった瞬間一気に状況は動いた。アリスの演奏により強制的に動きを止められたグレムリンを、セレナは至近距離で振るうビームダガーで切り裂き更に新たに浮かせたダガーがミサイルの様にグレムリンに向け飛んでいき、次々と体に突き刺さる。

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「やった!」

 次々と体に突き刺さるビームダガーに、グレムリンが悲鳴を上げそれを見てセレナも勝利を確信した。

 しかし…………

「ぐ、ぅ……フフッ」

 仮面の下でグレムリンは確かに笑った。それは全ての状況が自身の思い描いた通りに動いたからに他ならない。キャロルに向かわせた偽物を颯人が阻もうとするのも、セレナに行った奇襲がアリスに阻まれて失敗するのも。

 全ては颯人の意識を一瞬でも偽物から反らす為…………

 颯人が蹴り飛ばした偽物のグレムリンが弾かれるように立ち上がり、一気にキャロルに接近した。颯人がそれに気付いた時には既に遅く、偽物のグレムリンはキャロルの腕を掴むとそのまま転移魔法でその場から姿を消してしまった。

〈テレポート、ナーウ〉
「しまっ!?」
「キャロルちゃんッ!?」

 颯人と響が手を伸ばすが、無情にもキャロルは偽グレムリンと共にその場から消えてしまう。そしてキャロルが消えると、もうこれ以上ここに用はないと残ったメイジが次々姿を消す。あまりにも鮮やかな撤退を前に颯人も止める間は無く、気付けば残ったのはグレムリンとベルゼバブのみとなっていた。

「キャロルちゃんを返してッ!」

 このまま逃がしてなるものかと響がベルゼバブに掴み掛るが、動揺しているからかあっさり振りほどかれてしまう。そしてベルゼバブはそのままセレナに無数のビームダ
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