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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第227話:奮闘虚しく
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スとはまた違う対多数の戦いを得意としたシンフォギアの使い手だったのだ。
 この能力は事こういった狭い空間では特に有利に働く。何しろ動き回るのは小さな短剣だけであるのだから、普通に剣を振り回すのとは訳が違う。死角に回り込んできた短剣にも気を配らなければならない都合上、敵対する者からすれば厄介な事この上なかった。

 事実、他のメイジもセレナが操り縦横無尽に動き回るビームダガーを前に苦戦を強いられている。情勢がS.O.N.G.側に傾きつつあるのを肌で感じたベルゼバブは、咄嗟にグレムリンに目配せし次の行動を相談した。

「どうする?」
「ん〜……」

 問い掛けられたグレムリンの顔は、仮面で覆われている為表情を見ることはできない。声色はあまりセレナの参戦に対し関心を払っていないように見えるが、颯人の目には彼の体から苛立ちが湧き上がっているように見えた。

 颯人の目は正しかった。実際グレムリンはこの状況に対し、少なくない苛立ちを感じていた。ここに来て突然の状況の変化。まるで物語の様に颯人達の有利に好転する事態に対し、グレムリンは反吐が出る様な思いを感じていた。

「……気に入らないね」

 その言葉をその場に残す様にグレムリンの姿が掻き消えた。一瞬で瞬間移動の様に姿を消したのは、彼得意のアイソレーションによるものであり実際は他のメイジの影などに隠れて動いているだけであった。
 グレムリンが向かう先に居るのは勿論キャロル。これ以上状況が自分達の不利になる前に、せめて最大の目標だけは達成しようとしているのだろう。

 こう来るだろう事は颯人も読んでいた。なのでそれに先んじて、キャロルを奴らの手に渡さないようにすべくグレムリンの前に立ち塞がった。

「おっと、させるかッ!」

 迫るグレムリンの進路を妨害する様に颯人が身構え、その脇をすり抜ける様に響がベルゼバブへと迫る。これで敵はキャロルに戦力を割く事は出来ない。

 だが敵は……グレムリンは狡猾だった。そして同時に非情であり、何よりこちらの予想の斜め上を行くことを平然と考え付く。
 颯人の剣とグレムリンの剣がぶつかり合う。颯人はその瞬間違和感を感じた。手応えが何かおかしい。

 その疑問を抱いた直後、彼の目に信じられないものが映った。セレナに向けて駆けていくグレムリンの姿。だがグレムリンは今颯人の目の前に――――

「やられたッ!? セレナッ!」
「え?」

 颯人と対峙しているグレムリンは偽物だ。魔法で外見をグレムリンに似せているだけで、中身はそこらのメイジと何も変わらない。鍔競り合いになった瞬間の感触でそれが分かった彼がセレナに警告した次の瞬間には、グレムリンは合体させて鋏の様にした双剣で彼女の首を断とうとしていた。咄嗟に後ろに下がろうとするセレナであ
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