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神々の塔
第八十八話 主その十一

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「人が生きていけん」
「悪者が好き放題やって」
「暴力が支配する」
「最悪な世界や」 
 シェリルは言い切った。
「法がないとな」
「そうなるな」
「そやからな」
「法は絶対に必要やな」
「善人が幸せに暮らす為には」
「どうしてもな」
「そやな」
 こう話した、そして中里にこうも言った。
「無政府主義なんてな」
「論外やな」
「権力に反対するとか言うてな」
「無政府主義になるとな」
「権力に反対するんやったらテロやってもええ」
「それで拉致やって人殺してもな」
「ええっていうんやったら」
 それならというのだ、実は一行だけでなく星の者達は全てそうした輩が実際に世の中にいることを知っているのだ。
「アホの極みや」
「ほんまにな」
 中里も確かにと頷いた。
「権力に反対する奴がテロして人殺ししてええなら」
「そのアホはな」
 シェリルは本気で言った。
「その権力に反対する奴に殺された人の遺族の人達の前にや」
「突き出すべきやな」
「法の保護から外してな」
「そうすべきやな」
「どうなっても知らん」
 シェリルは冷たく言った。
「私は州星連合の最高裁長官やが」
「司法の最高権力者やな」
「しかしな」
 その立場にあるがというのだ。
「それでもな」
「そんなアホはやな」
「法の保護から外してな」
「被害者の遺族の人達に突き出すな」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「権力、法の有難さをな」
「身を以て知ってもらうな」
「まあそんなアホは殺されるな」
 芥川も冷たく言った。
「遺族の人達がどれだけ怒るか」
「家族とか殺されてな」
「それも理不尽にな」
「それでそんなん言うたらな」
「そうしたアホは命の有難さもや」 
 それもというのだ。
「わかってへん、わかろうともな」
「してへんな」
「遺族の人達の痛みや悲しみもな」
「わかろうとせんな」
「そんなアホは生きててもな」
「しゃあないな」
「世の中稀にや」
 芥川は忌々し気に言った。
「生きる価値すらない屑がおるが」
「そうしたアホはな」
「まさにや」
「そんな屑やな」
「そやから遺族の人達が何してもな」
「ええな」
「殺してもな」
 そうしてもというのだ。
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