第八十七部第四章 首相官邸にてその六
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「その中でもね」
「盗聴ですね」
「それを得意としていて」
「多くの人物の情報を手に入れていて」
「そしてね」
それでだったのだ。
「大統領の弱みも掴んで」
「権力の座を守りました」
「そうしたわ」
「弱みを握る」
「そして静かにしてもらったり」
「動いたりですね」
「そうすることもね」
まさにというのだ。
「重要よ」
「謀略の一つですね」
「相手を徹底的に調べて」
「そして仕掛けるのですね」
「それが謀略よ」
まさにそうだというのだ。
「そしてね」
「それを仕掛けて」
「私は今までことを進めてきたわ」
「日本の国益を手に入れてきましたね」
「ライオンの様に強くで」
そしてというのだ。
「狐の様に狡くとあるわね」
「マキャベリですね」
「実は彼の意見はね」
「用いられませんでしたね」
「確かに謀略は出来るけれど」
それでもなのだ。
「徴兵制はね」
「実際に当時のイタリアの都市で行うと」
「素人にいきなり武器を持たせて戦場に立たせたから」
「何の役にも立ちませんでした」
「そうだったわ」
当時のイタリアでは傭兵が主であったのだ、徴兵制が実際に効果を出したのは欧州全体でもかなり後のことだ。
「とてもね」
「左様でしたね」
「けれど謀略はね」
「まさにその通りですね」
「必要よ。孫子にも書いてある通りにね」
謀略、それはというのだ。
「非常に重要よ、それでね」
「総理は使われてきましたし」
「今もでね」
「これからもですね」
「そうよ、昭和帝はお嫌いだったけれど」
「君主の方はですね」
「謀略を好まれてはならないわ」
決して、そうした言葉だった。
「特に日本の皇室の方々とりわけ」
「陛下はですね」
「好まれてはいけないわ」
「あくまで王道を歩まれるべきですね」
「君主が謀略を好むと」
その場合のことも話した。
「いいことはないわ」
「後白河院ですね」
「あの方は大変なことをされたわね」
丁度源平の時代に院政を敷かれ平家や木曽義仲、源頼朝や九郎判官義経の間を動き何かと謀略をめぐらされた方だ。
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