第八十八話 主その一
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第八十八話 主
次に戦う神霊についてだ、アレンカールは迷宮の中を進みつつ言った。今度の迷宮はキリスト教の教会の中の様である。ゴシック建築の趣だ。
「もうここまできたらね」
「心を乱さんな」
「そやな」
「ええ、あの方がお相手でもね」
メルヴィルとトウェインに答えた。
「思わないわ」
「落ち着いてやな」
「冷静に戦えるな」
「キリスト教の神霊さん達とも数多く戦って来たからね」
「そやな」
「天使長さん達とな」
「聖人とされる方々ともね」
彼等とも、というのだ。
「円卓の騎士にしてもね」
「アーサー王もキリスト教のお話や」
メルヴィルはこう看破した。
「聖杯伝説が基になってるな」
「そうなのよね」
「ケルトの話が確かにベースにあるけどな」
「聖杯があってね」
「キリスト教の教えが強いやろ」
「ええ、あのお話はね」
「そやからな」
だからだというのだ。
「円卓の騎士の人等もな」
「キリスト教ね」
「そう言ってええわ」
「そうよね」
「ほんまキリスト教の神霊さん達もな」
その彼等もというのだ。
「この世界を守護してはって」
「この塔にも出て来てね」
「試練として戦って来たな」
「数多くね」
「それでやな」
「流石にそうしたものだと受け入れているわ」
今ではというのだ。
「ほんまね」
「今度の方はや」
トウエインはアレンカールに話した。
「主や」
「イエス=キリストさんね」
「まさにあの方や」
「あの方と戦っても」
「もう同じんか」
「あたいはね」
そうだというのだ。
「もうね」
「そやねんな」
「ええ、別に神に反逆する訳でもないし」
「冒涜する訳でもないな」
「そやからね」
だからだというのだ。
「もうね」
「同じることなくやな」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「戦うわ」
「そうするな」
「例え失楽園の時みたいに」
ミルトンのこの作品の様にというのだ。
「恐ろしく強くてもね」
「戦うな」
「ええ、もうね」
アレンカールは心から言った。
「覚悟決まったわ」
「そうやねんな」
「これまで戦って皆の覚悟も見てね」
「自分が信じる宗教の神霊さんと戦う」
「あたい自身そうだったしね」
「天使長さんと戦って来たな」
「そやからね」
だからだというのだ。
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