第112話 辺塞到着
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宇宙暦七九一年 一〇月 シャンダルーア星域アルエリス星系
ハイネセンよりエル=ファシル攻略作戦時に使用した演習宙域のあるエレキシュガル星系を超え、辺境航路を進むこと二二日と一三時間。第一〇二四哨戒隊は全艦無事に、駐留基地となるシャンダルーア星域アルエリス星系内にある第五四補給基地に到着した。
いうまでもなくド辺境にして最前線。前方に展開するのはフォルセティ星域とファイアザード星域。さらに奥には帝国軍が根拠地を築いていると思われるパランティア星域がある。今世における父アントン=ボロディンが戦死したのもパランティアで、ダゴン、アスターテと並ぶ、帝国との古戦場の一つでもある。
俺の率いる第一〇二四哨戒隊は、それら三つの星域と後方となるルンビーニ星域を合わせた四つの星域・二八〇余の星系を哨戒管理範囲とする、第三辺境星域管区の所属となる。他にもイゼルローン方面の正面となるダゴン・ティアマト・アスターテ・ヴァンフリート星域は第一、フェザーンに接しているパラトループ星域は第二の管轄となっていて、それぞれの集団に少将の司令官が当てられている。三つの集団司令部を纏める辺境星域総管区司令官という官職はなく、全て統合作戦本部長の直轄となる。
ちなみに第二辺境星域管区がパラトループ星域のみの管轄になのは、フェザーン回廊を通って帝国軍が侵入してきた場合の事を想定していた時代の名残と、パラトループ星域の後方が第三辺境星域管区司令部のあるルンビーニ星域だということからだそうだ。もう一つフェザーン回廊に接する同盟領のポレヴィト星域は、ハイネセンとフェザーンを結ぶ中央航路が通っている関係で人口もそれなりに多く、既に単独の星域管区司令部が存在している。
ともあれ三つある辺境星域管区ではあるが、根拠地がエルゴン・ドーリア・エル=ファシルといったそれなりに安定した有人惑星を有する第一辺境星域管区とは違い、第三辺境星域管区はかろうじて人間が住んでいるといったレベルでしかない。第一〇二四哨戒隊が駐留することになる第五四補給基地は、そんなルンビーニ星域のさらに先。浮遊惑星改造型『基地』であって、イゼルローン要塞のように多数の民間人が居住できるようなスペースなどない。「社会資本? なにそれ、美味しいの?」レベルで、一応行政府があるだけマーロヴィアの方が民間経済は発展していると言っていい。
もちろん星域管区内には二八〇も星系があるので、中にはカプチェランカのような貴重な鉱産物を算出する惑星も、風光明媚?な特徴ある変光星も、さらには僅かなテラフォーミングで居住可能なレベルの惑星もあるという話だが、帝国軍の危険が大きすぎる上、ハイネセンなどの中核星域との絶望的なまでの距離の為、資本を投下しての開発は行われていない。むしろフェザーンの方がはるかに近いが、フェ
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