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ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
第20話:繋がるオモイ
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一同が覗き見ると、驚きの表情を浮かべた。


―――その写真には【羽根を握りしめた仮面の戦士】の姿があった。



〜〜〜〜〜〜


同じ頃、警視庁内部の廊下で夏目はとある人物を探していた。
周囲を見回しても自分を探している『彼』の姿はなかった。

「あの人、雷堂さん……一体どこにいるんですか」

夏目の探している彼……雷堂蒼真。
自分も親しくしているわけではないが、彼の事は口伝で知っていた。
……G3ユニットに所属しているG3-03の装着者であるが、厳密には警察には所属していない。
元々は増発する未確認生命体による事件への対策として装着者の一般公募から採用された青年であり、年は今年で23になった自分より若い。
それなのに先輩達のフォローをこなしながらG3として未確認生命体と戦う彼はメンバー内でも評価が高い。
私生活についてはG3ユニットメンバーでの焼肉などの付き合いはあるものの、まだ謎が多い。
"十分に戦えない自分"にとって彼は羨望の対象だった。

(もう少し彼に、雷堂さんに近づければ……きっと私も……)

夏目はそんな淡い期待を宿しながら、蒼真を探していた。
すると携帯電話片手に話している一人の青年を見つける。
端整な顔立ちをし、鮮やかな金髪(ブロンド)と青い瞳を持った若いその青年……『雷堂蒼真』は夏目の存在に気づくと、電話の相手に断りを入れた。

「じゃあな、ルメン。また電話はする……お待たせしてすいません、夏目さん」

「あの、誰かとご連絡中でしたか?」

「ええ、知り合いと。どうかなされたんですか?」

「士さん達がG3ユニットと皆さんと出会っている中、雷堂さんの姿がなかったので探していたんですよ」

「ああ、丁度知り合いから連絡が入って来てですね。少し抜け出していたんですよ」

蒼真は夏目の質問にそう返した後、G3ユニットの待機室へ向かおうとする。
そこへ夏目が蒼真へ恐る恐る声をかける。

「あの、雷堂さん。ちょっといいですか?」

「なんですか?」

「前々から思っていたんですけどあなたはその、怖くないのですか?未確認と戦うのは」

「……少なからずあるってところですね。誰だって怖いものはありますよ」

蒼真は夏目の方に振り向かないまま答えた。
彼は言葉を続けて彼女へ言った。

「でも、一番怖いのは何もできずに失うって事ですよ」

「何もできずに失う?」

「ええ……目の前で大切なものが失いそうって時に手を伸ばせないで助けられないってのは結構辛いし悲しいし、何より自分が許せなくなる」

悔しそうな声で呟くように話している蒼真を見ていた夏目は、彼が自分の拳を握りしめる所を目に入る。
自分の知らない所でつらい過去を背負った
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