暁 〜小説投稿サイト〜
ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
第16話:誇りあるケイジタチ
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 ―――それは、ユウスケと小狼とファイが白井虎太郎の元へ向かっていた頃の出来事。
士と黒鋼は今日の修業を終えて、帰路についていた。

「しかし忍者ってのは、もっとこう忍ぶものかと思っていたんだがな」

「なんだ?何が言いたい?」

「忍者ってのはこう、分身の術とか五遁の術とか忍術を使ったり、手裏剣を飛ばしたりしているものかと思っていたが」

「生憎、忍者って言っても色々いる。俺の日本国にも忍術使ったり忍具使うやつもいれば、俺のような腕っぷし一つで敵を倒すヤツがいるんだよ」

二人は他愛ない話を繰り広げながら、道を歩いていた。
そんな中、突然誰かの悲鳴が聞こえる。
見てみると、ひとりの老婆が道に倒れており、その先では怪しい恰好の男が手提げ袋を持って逃げていた。
それを見て士は呟く。

「穏やかじゃないな」

「ほう、修業の成果を確かめるには丁度いいなぁ」

「やれやれ、素早いのは忍者もどこも同じだな」

拳を鳴らしながら黒鋼は走り出し、その後を追って士も走って向かった。
老婆の荷物を奪ったひったくり犯の男は、自分を追いかけてくる二人に気づき、急いで逃げていく。
……その様子に気づいたスーツ姿を纏った一人の男性が、倒れている老婆に近寄った。

「大丈夫ですか」

「ええ、はい。大丈夫です」

「あなたはここにいてください。すぐに取り返してきます」

一人のスーツ姿の男性は老婆を助け起こしてそういうと、泥棒を追いかける黒鋼達の後を追って男性も走っていく。

一方その頃、犯人は後ろから追いかけてくる士をなんとか振り切ろうと逃げ足を速めていた。
士は逃げる犯人を追い詰めながら声をかける。

「待ちやがれ!」

「な、なんで追いかけてくるんだよ!」

「恨むなら目の前で盗んだ自分を恨むんだな!」

「じょ、冗談じゃねえぞこの野郎!」

犯人は駆け足を速めながら、士から逃れようとする。
なんとか曲がり角を回って、逃げようとするが……。
そこには先程から見えなかった黒鋼の姿があった。

「よぉ」

「ひぃ!?ど、どうして!?」

「あん?木々を飛び乗って先回りしてたっていえば納得するのか?あぁ?」

鋭い視線を向けながら、距離を狭めてくる黒鋼。
龍に睨まれたような強張った顔で怯えながらひったくり犯は後ろへ逃げようとする。
だがそこには、追いついた士の姿があった。

「悪いがここは通行止めだ」

「ちくしょう!どけどけ!!」

ひったくり犯は、奪った荷物を捨てて、殴り掛かろうとする。
だが、二人が繰り出す方が早かった。

「「―――ハッ!」」

士の横蹴りと、黒鋼の突き出した拳。
どちらも顔に当たる寸前の所で止まり、ひったくり犯に風圧が襲い
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ