第32話:勇者の計算外その7
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
すからな!」
僕らは全力で後方へと下がった。
月鍔ギンコperspective
なんとか街の入り口まで到着すると、門を守る兵士に止められる。
「怪しい奴らめ!身分証明書を見せろ!」
身分証明書?
あれ、どこでしたっけか?
懐に手を入れて冒険者カードを探す。
そこで兵士の視線が某の腕輪に向いた。
「おい、ちょっと待てよ、その腕輪もしかして英雄の証か?」
指揮官らしき中年の男性は顔が青ざめていた。
「失礼いたしました!まさかアルマンの英雄だったとは!」
あるまんの?
それは、某の事か?
反応から見るに尾ひれの付いた碌でもない噂でしょう。
兵士に捕まり街の中へと連行される。
そんな中、セツナ殿が兵士達に質問します。
「なぁ、砦は落とせそうなのか」
「さぁな。守りが堅くて苦労してるらしいぜ」
「勇者は来てるのか?」
「あー、あの噂の勇者ね。どうだろ、最初はちやほやされてたが、活躍している話はまったく聞かないな」
つまりセイン達もここに来ていて、足止めを食っているという事なのでしょう。
ようやくはっきりと背中を捉えた様です。
セツナperspective
恐らく私達にとって今日は、この先の運命が決まる日だ。
なにせここにはアイツが来ている。
勇者を殺せば大きな罪となる。
相応の罰が与えられるのは当然だ。
どうなるかは判らない。
だが、たとえ情状酌量の余地があっても軽くはならないだろう。
最悪処刑されるかもしれない。
それでも!
……ノノには悪いが……
城塞都市ラワナからそう遠くない場所には、巨大な外壁がそびえ立っている。
これは魔族側とヒューマン側を隔てる壁だ。
そして、その先に最前線である戦場があった。
遙か地平線の先に、暗黒領域への入り口に城塞が立ち塞がる。
知名度があった事も幸いして、私達はあっさりと壁を通過。
ヒューマンの軍がいる野営地へと訪れる。
無数のテント群へと入ると、槍を持って駆けて行く兵士達を見かけた。
空気はぴりつき緊張が横たわっている。
正直あまり長居したいとは思えない雰囲気だ。
どんっ!と遠くで爆音が響く。
砦を落とす為に多くの魔法使いがかり出されているようだ。
「状況は?」
「芳しくありません。デナスが猛威を振るい、城塞の入り口を突破出来ない様です」
「勇者はどうしている!?その為に来たのだろうが!」
「デナス相手に連敗中です。現在も戦っているかと」
「くそっ!これではいたずらに犠牲を増やすだけだ!もっと力を持った者はいないのか!」
フルアーマーにマントをつけた男性が怒鳴っている。
察するに戦況はあまり良くないらしい。
彼は私達を見てムッとした顔をした。
「何だこいつら!?何で小娘共がこんな所にいるんだ!?」
おいおい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ