第32話:勇者の計算外その7
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体全体から色気を醸し出しており、露出した深い胸の谷間が目をひく。
まさに僕好みだ。
しかもレベルは60台。
正直、直接手に入れるより他人から奪う方が気分が良いが、この先の本格的な戦闘を考えれば贅沢は言っていられない。
さりげなく目の前の席に座った。
「やぁ、今は1人かな?」
「そうだ」
「見たところ聖職者の様だけど、もしよかったら僕らとパーティーを組まないか」
目を合わせ誘惑の魔眼を使用する。
「貴方名前は?」
「ミリム」
「へー、良い名前じゃない」
横からずいっとリサが出てきて視界が遮られる。
一瞬だったがそれでも魔眼の効果はあったはずだ。
焦る必要はない。
これから徐々に重ねがけをして洗脳して行けば良いんだ。
「返事だが、お前のパーティーに入ろう」
「うん、良い返事だね」
やはり効果はあった。
態度が少し軟化した気がする。
そこで彼女の右手にはまっている指輪に目がいった。
「綺麗な指輪だね」
「これは恋人にもらった物だ。もういないが」
「冒険者だったのかな」
「ああ、良い人だった」
それを聞いてゾクゾクする。
ああ、失った恋人を想い続けるその心、なんて綺麗なんだ。
それを僕の物にできるなんて最高じゃないか。
我慢するなんて思ったけど、この子以外に考えられないよ。
「じゃあ宿でこれからの話をしようか」
「ああ」
彼女は素直に応じる。
ふひっ。
轟く爆音と怒声。
兵士達が魔族の砦を落とそうと攻め続ける。
堅牢な城塞は魔法でもびくともせず、暗黒領域への道を塞ぎ続ける。
入り口を守るのは魔王軍幹部の1人デナス。
大曲刀を操り兵士をゴミ屑のように容易に切り飛ばす。
「うぉおおおおおおおっ!」
「!?」
僕の剣と大曲刀がぶつかり合った……
途端、〈フレイムソード〉がぽっきり折れた。
「なんでだあああ!? 売れば金貨八千枚は下らねえ〈マジックアイテム〉だぞお!?」
「ははは! 大方、模造品か粗悪品でもつかまされたのではないのかね?」
思わず折れた〈フレイムソード〉の根元を凝視し、デナスがその様が如何にも滑稽とばかりに大笑する。
「冗談じゃねえ!僕の目の前でやらせたんだ!しかも、勇者である僕が使う事を想定してだ!模造品でも粗悪品でもある訳がねえ!」
「ほう。ならば銘が刻まれている筈だな?なんと言うのだ?」
な……に……?
あの爺……まさか!?
「銘だよ。優れた匠は、己が精魂込めた造形物に必ず銘を刻むものだ。剣ならばちょうど、その根元辺りではないか?」
ひとまず今日のところは撤退だ。
数日中の内に必ず倒す。
覚えていろ。
「逃げるのか勇者よ」
「違う! 今日のところは見逃してやるだけだ!」
「くくく、そうか自分は見逃されるのか」
「笑うな! 次は必ず殺
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