第四十話 昔の忍者その十
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「ずっと二人で幸せにな」
「暮らすことですか」
「そうすべきですか」
「ああ、もうな」
それこそというのだ。
「お互い支え合ってな、多少だらしなくてもな」
「人の道は踏み外さないで」
「そこは踏み止まって」
「それでな」
そのうえでというのだ。
「楽しくや」
「夫婦で生きるんですね」
「一緒に」
「そうしてくれたら嬉しいわ」
織田としてはというのだ。
「ほんまな」
「そうですか」
「そうしていきます」
「よろしゅうな、ほな私はこれでや」
「お家に帰られますか」
「そうされますか」
「心斎橋の方行くわ」
こう言うのだった。
「それで取材して極楽の方の出版社に頼まれてる作品をな」
「書かれますか」
「そうされるんですか」
「今も書いてるで」
幽霊になってもというのだ。
「それでや」
「極楽の方で、ですか」
「書かれていますか」
「そこで土曜夫人も終わらせた」
織田の死去により未完に終わった作品である、この作品の舞台が東京に移るので東京に取材に行ってそこで結核が悪化して亡くなったのだ。
「それで他の作品もな」
「書かれているんですね」
「極楽で」
「そうしてるわ、そっちのことがあるからな」
「だからですか」
「これで、ですか」
「お暇させてもらうわ」
二人の前からというのだ。
「また機会があればな」
「お会いしましょう」
「その時またお願いします」
「そうしよな。私はこれからもずっと大阪におるから」
だからだというのだ。
「機会があってお引き寄せがあったらな」
「お会い出来ますね」
「そうですね」
「ああ、その時またな」
「それでは」
「お会いしましょう」
こう話してだった。
二人と織田は別れた、店の外で手を振り合ってそうした。その後でだ。
佐京は夜空にだ、微笑んで言った。
「これから帰る?」
「そうね」
夜空は佐京の言葉に頷いて応えた。
「もういい時間だし」
「それじゃあね」
「神戸のお家にね」
「帰りましょう」
「そうしようね、それで電車の中でね」
帰りのというのだ。
「お話しようか」
「そうね、織田作さんのこともね」
もう大阪の街中に消えた彼のことも話した。
「お話しましょう」
「じっくりね」
「そして」
それにというのだった。
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