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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第111話 第一〇二四哨戒隊 その2
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ている。第五軍団がカプチェランカから撤退した途端に、交代した軍団が帝国軍の強襲に遭いほぼ半減し東半球を奪回されてしまった。

 さらには新たに二つの制式艦隊を編成・増強する予算が付けられた。現在同盟には制式艦隊は一〇個でロストナンバーはないので、これが第一一・第一二艦隊になるのは充分想定できる。防衛力強化と迎撃ローテーション運用に余力を持たせることが目的だが、来年中にグレゴリー叔父が第一二艦隊司令官に推挙されるのはほぼ間違いない。そして……

「おそらくは来年。私はイゼルローン要塞を攻略することになるだろう」

 俺から視線を外しつつ、周囲を伺いながら、体に似合わぬ小さな声でシトレは言った。

「少なくとも三個艦隊以上の戦力を用意し、万全の態勢を整えて攻略に臨むつもりだ。前の宇宙艦隊司令長官の轍は踏みたくないからね……準備段階において前線展開する哨戒隊にはいろいろ苦労を掛けることになるが、よろしく頼む」

 攻略ルートの威力偵察。欺瞞・陽動作戦。前衛艦隊の誘導。補給ルートの哨戒。補給船団の護衛。通常の哨戒業務以外の仕事が増える。それに伴って哨戒隊も帝国軍との触接が通常より多くなるのは当然のことだ。

「訓練についてきた部下達は皆優秀です。いずれ閣下がイゼルローン回廊入口に達する時に御用があれば、当哨戒隊にご連絡いただければできる限りのことはいたします」

「それとこれは全く私事の頼みなのだが、聞いてもらえるかね。ヴィクトール?」

 出来ることと出来ないことはありますよと含んでの回答だったが、シトレは理解したのか疑わしいような笑顔を浮かべてグラスを上げると、そう言うのだった。

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