第111話 第一〇二四哨戒隊 その2
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の例を挙げるまでもなく、容易に部隊の秩序を崩壊させる。度を越えた大金の遣り繰り、身体・運動能力の劣化、依存症、精神錯乱。何一つ良いことがない。ついでに言えば、せめて自分の職権範囲内では悪霊の動きを封じ込めておきたい。
「俺からは以上だ。話は長くなったが、七分隊の自己紹介が途中だったね。それじゃあ、二番艦から再開してくれ」
にっこりと笑顔で促す俺に、第七分隊二番補給艦(AOE)ディーパク五〇号艦長の顔は、「今このタイミングで俺に振るか、普通?」といった困惑とツッコミで満ち溢れているのだった。
◆
「ヴィンセント査閲部長から聞いたぞ、ヴィクトール。キベロンではだいぶ派手にやらかしたようじゃないか」
あの会議室から一ヶ月。新編制部隊に施される最初の集団訓練からハイネセンに戻ってきた俺が、レストラン『楢の木』で食事をしていると、『偶然』よく見知った黒人大将閣下が店に入ってきて、何故か俺の座るテーブルの向かいに座り、悠然と白ワインを片手に、ステーキ二人前を前にして満面の笑顔でそう宣いやがった。
「一哨戒隊が二週間の訓練期間で破壊した稼働標的の数は過去最高で、消費した燃料も一個戦隊(一五〇隻相当)分とか。ついでに訓練中に処分された士官下士官合わせて二五名というのも、過去最多らしいな」
「お褒め頂き、恐縮の至りです」
正直言えば溜息しか出てこない。訓練内容に不満が無いわけではないが、とりあえず移動中は出来ない砲撃訓練に関しては全て終えることができた。
ただしその結果黒い腹黒親父の言うように、一哨戒隊が通常使用する訓練資材の優に五倍を消費した為、訓練宙域管理部部長に俺は名指しで呼びつけられ散々どやされた。訓練結果を巡っては士官と下士官と兵の間でトラブルが頻発。それを漏れなく報告して来た各艦艦長とは連日連夜の言い争い。
下級幹部による私的制裁も初日三件報告され、俺が例外なく即座に降等処分・ハイネセンへ強制送還にすると、手足を?がれては不味いと思った各艦艦長は、すぐに暴力禁止指示を徹底するようになった。密告を奨励するわけではないが、兵卒が直接俺に連絡できる手段がある以上、隠し事はできない。虚偽の報告も当然あったが、軍医による診察等で当然バレるわけで、虚偽報告者も漏れなく降等処分ないし減俸(二等兵はそれ以上降等できない)処分とした。
以降はそちらのトラブルに悩まされることはなくなったが、訓練結果が出ないイライラからか、今度は艦長達の査閲報告会議の空気は実に悪くなった。全ての訓練に付き合わされた挙句、会議に列席せざるを得ない査閲官達から、俺に「もういいんじゃないですか、これだけ出来れば……」と逆に泣き言を言われる始末で。
「あまり部下に厳しくし過ぎると、後で痛い目にあうことになる。ま、言うまでも
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