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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第111話 第一〇二四哨戒隊 その2
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きりしてくれた方がやりやすい」
「士官学校首席卒っていうからもっと杓子定規でパリッとしてると思ったのになぁ……ここずっと調子崩されっぱなしだわぁ……」

 ちょっとぞんざいな口調の入った旗艦副長……ダニエル=ビューフォート少佐は、海賊のような顔を歪めつつ肩を竦める。

 事前に統合作戦本部の喫茶店に呼び出した時、『なんだよ、このクソ生意気な若造』と言わんばかりの態度だったが、親愛度チェック(握手)で少しは納得してくれたらしい。俺は隊司令の仕事に専念するから、よほどのことがない限り操艦は任せると言うと、いかにも不承不承の表情ではあったが、黒い瞳には僅かに歓喜が浮かんでいた。

 以降、口は悪いがとりあえず俺の指示に協力的に従ってくれているし、代わりに艦の準備を進めてくれている。名前だけで言えば大親征時に補給線へのゲリラ戦を実施して、黒色槍騎兵の進撃を一時的でも遅らせた准将と同じだが、アニメでもゲームでもその顔を拝むことはなかったので、本人かどうかは分からない。

「どうぞ」

 一方でコツンと珈琲の入った紙コップを置くドールトン中尉の顔は、仮面のように無表情だ。着任してまだ数日だが、今のところ俺の命令に反するようなこともなければ、仕事上のミスもない。情報分析科出身の副官が多い中、異色の航海科出身としては十分すぎるほど有能なのだが、彼女の腹積もりがまったく分からない。志願の辺境勤務、俺の部下になることを喜んでいたとは到底思えない、あまりにドライでビジネスな関係……

「司令」

 ドールトンが席に腰を下ろすと、ビューフォートが軽く肘で俺を小突く。艦長達は飲料を手に全員席についているし、何人かは言った通り足を組んでリラックスしている。俺が一口珈琲を口に含んでから立ち上がると、その全員の視線が俺に集中した。いずれも緊張と好奇心と諦観の入り混じった視線だ。

「まずは自己紹介だ。艦と顔と名前が一致していないと、お互い迂闊に罵倒もお悔やみも言えなくなるだろう?」
 ハハハッと乾いた笑いが会議室の中に沸き起こる。
「第一分隊から番艦順に立って話してくれ。艦名と自分の名前、階級は言わなくてもいい。それと好きな酒だ。禁酒家だったらソフトドリンクでもいい。ただ個人的にはお奨めはしたくない」

 理由が分かるベテラン勢を中心に含み笑いが漏れるが、若い艦長達は何言ってんだコイツと言った表情だ。明らかに二派に分断された艦長達だが、最初の一人……第一分隊二番艦艦長の初老の中佐が立ち上がると、ざわめきは自然と収まっていった。

「一分隊二番、戦艦インプレグナブル艦長のファルクナーです。好きな酒はカッシナのピュアモルトですな」
 ちょっと普通過ぎないか? と誰かの声がしたが、ファルクナー中佐が微笑んで肩を竦めて応えた言葉で、若い艦長達の顔色は
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