第111話 第一〇二四哨戒隊 その2
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宇宙暦七九一年 九月より ハイネセンポリス
それから二日後。やはりチェンジは利かない(当たり前だ)とのことで、真にやむを得ずイブリン=ドールトン中尉の着任を了承し、全艦長及び旗艦副長の全員を集めて顔合わせを行った。
「隊司令、入室されます」
先に会議室の扉を開け少し脇に逸れてからドールトンが、踵を合わせた直立不動の姿勢で声を上げる。それに合わせるかのように、会議室の喧騒も収まり全員が起立する。俺がドールトンの目の前を掠めるように室内に入ると、一斉に俺に向かって敬礼してくる。
ざっと見て欠員はないし、容儀に乱れはない。いずれも履歴書通りの顔つきをしている。俺が上座から答礼してから着席すると、合わせるように無言で一斉に着席する。ただし旗艦副長と副官のドールトンの二人は、司令部要員として俺の両脇の席に座る。
「この度、第一〇二四哨戒隊隊司令兼同隊旗艦戦艦ディスターバンス艦長を拝命したヴィクトール=ボロディン中佐だ。これからよろしく頼む」
そう言い切ってからしばらく面々の顔を見る。俺を含めた艦長三〇人のうち、女性は五人で、俺より年齢の若い艦長は三人。専科学校出身と兵卒叩き上げが半数以上を占める。当然ながら俺よりも前線での経験を積んでいる人間が多い。
「ただ俺の悪い癖でこういう会議では話は長くなることが多い。なので他所の連中が居ない限り、こういう場では気楽にしてくれて結構だ。短い足を組んでもいいし、頬杖をかいてもいい。なんならドリンクバーで飲み物を取って来てもいい」
年配の艦長達は戸惑ったような視線をお互いに交わす。若い艦長達も首を傾げているが、一人だけ何度も何度も納得したように頷いている。履歴書を頭の中でめくれば、彼は士官学校同期で戦術研究科出身の巡航艦艦長だった。
「ちなみに俺の副官イブリン=ドールトン中尉は、残念ながら貴官らのウェイトレスにはなれない。コレは俺と旗艦副長専用だ。悪いが各自セルフサービスで頼む」
行ってくれと俺が座ったまま右手で会議室後方にあるドリンクバーを指し示すと、とりあえず行くかという感じで三々五々席を立ち、列を作って飲み物を獲りに行く。
「ドールトン、俺には珈琲を頼む。副長は?」
俺を挟んでドールトンとは反対側に座る、会議室で唯一髭面をした三〇代の少佐に俺が顔を向けると、あ゛〜と訛り声を上げつつ無精髭を擦りながら天井を見つめ「じゃあ、小官もそれで」と応える。ドールトンが無言で小さく頭を下げて、ドリンクバーの列の最後尾につくのを見てから、副長が体を寄せてきて囁く。
「もちっと厳しくやってもいいと思いますが、ホントにこんな緩くていいんですかい?」
「気取ったところで、化けの皮が?がれればどうせ同じさ。面従腹背されるより気負わず言うだけ言って、すっ
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